ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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マーヴァ・ライトが…

2010-03-26 11:56:55 | ブルース
MARVA WRIGHT / BORN WITH THE BLUES

2010年3月23日、ニューオーリンズの女性ブルース・シンガー、マーヴァ・ライトが亡くなられたそうです。先日ブルース銀座さんのブログで知りました。残念ですね。まだ62歳だったそうです。昨年2度の脳梗塞で倒れ、療養中だったとか。

ニューオーリンズを感じさせてくれる貴重な女性シンガーでしたね。ブルース・シンガーとはいえ、強烈なゴスペル・フィーリングも持っていて、ふくよかな体格から繰り出されるパワフル且つディープな歌唱は迫力満点でした。

私がマーヴァ・ライトを知ったのは、BS放送で見た91年のニューオーリンズ・ジャズ・フェスティヴァルの映像。ファンキーなバック・バンドを従え、パワフル且つディープに歌う姿は強烈なインパクトがありましたね。実は今そのビデオを引っ張り出して観てるんですけど、痺れますね。特にブルース・ナンバー「Hert Breakin' Woman」の迫力たるや! ゴスペル曲も素晴らしい。嗚呼、一度生で観たかったです…。


写真のアルバムは94年のアルバム「BORN WITH THE BLUES」。このCDの解説によりますと、彼女は48年3月にニューオーリンズに生まれ、子供の頃から教会でゴスペルを歌っていたそうです。13歳でスピリチュアル・グループに参加したり、70年代にはアラン・トゥーサンの録音でバック・コーラスを務めたりと、シンガーとしての道を歩みます。さらにシカゴ・ブルースの女王ココ・テイラーがニューオーリンズに来た際にその前座を務めたことから、彼女もブルースへと方向を定めることになったとか。そして90年に「HERTBREAKIN' WOMAN」でアルバム・デビュー。私がマーヴァを知ったのは、意外とデビュー間もない頃だったのですね。

続いてこの「BORN WITH THE BLUES」が2nd作になります。バックには彼女が率いるBMW'Sのメンバーを中心に、ハーマン・アーネスト(ds)やウォルター・ウルフマン・ワシントン(g)、サニー・ランドレス(g)なんかも参加しています。幕開けはいきなりラップで始まり驚かされるファンキーな「The Glitter Queen」。これはマーヴァの自作曲で、キレのある艶やかな歌声が素晴らしいです。そしてブルース・シンガーとしての本領発揮は「What's Wrong」やタイトル曲「Born With The Blues」。特に「Born With The Blues」でのどっぷりとしたブルース表現には引き込まれます。ここでギター・ソロを弾くのはウルフマン・ワシントン。「What's Wrong」ではサニー・ランドレスのスライドが強烈。

サニー・ランドレスと言えばスワンプ色の濃い「Before I Met You」でも大活躍。水分をたっぷり含んだような音色のスライドがジュルっと腰に絡み付いてきます。そして大きく弾むマーヴァの歌声も貫禄充分。これぞルイジアナ!! そして迫力たっぷりの重量級ヴォーカルを聴かせる「Hound Dog」や「Been & Gone」。この2曲の歌唱も圧巻。前者はもちろんプレスリーのあの曲、後者はジョン・クリアリーの楽曲。さらにスロー・ナンバー「It's Gonna Be Alright」や「Do Right Woman - Do Right Man」で聴かせるディープなソウル/ゴスペル・フィーリング! 「Do Right Woman - Do Right Man」はアレサ・フランクリンが歌った名曲ですね。力強さの中にもしっかりと暖かさが宿っているマーヴァの歌声。やっぱり幼い頃から親しんだゴスペルや、ニューオーリンズという土壌が培った豊かな音楽性が染み付いてるんでしょうね。そして最後を締めるアコースティック・ブルース「Can't Nobody Love You」が妙に染みます。

近年は山岸潤史&塩次伸二の「BLUES IN NEW ORLEANS」(07年作)に客演して日本のブルース・ファンにもその元気な声を届けてくれましたね。同年にはソロ作「AFTER THE LEVEES BROKE」もリリースしていたそうなのですが、残念ながら私は未聴です。今度探してみようかな…。

マーヴァ・ライトのような、大きな歌が歌えるシンガーって、最近少なくなっているように思えますので、ホント寂しい限りですね。

マーヴァ・ライトさん、安らかに。