ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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リバース・ブラス・バンド @ブルーノート東京

2016-06-02 19:50:29 | ニューオーリンズ
5月31日、ブルーノート東京にて、リバース・ブラス・バンドのライヴを観てまいりました!!

リバース・ブラス・バンドと言えば、ニューオーリンズのファンキー・ブラス・バンドとしてはダーティ・ダズンに次ぐ老舗。結成は1983年。以降、新陳代謝を繰り返しながら、ダーティ・ダズンと並び、かの地を代表するトップ・バンドに君臨し続けてきました。近年も、2011年の「REBIRTH OF NEW ORLEANS」がグラミー賞『Best Regional Roots Music Album』部門を受賞するなど、その勢いは増すばかり。

今回の来日メンバーは、グレゴリー・ヴィールズ(トロンボーン)、ヴィンセント・ブルーサード(サックス)、シャドリック・オーノレー(トランペット)、デスモンド・プロヴォスト(チューバ)、ジェナード・アンドリュース(スネアドラム)、キース・フレイザー(ベースドラム)の6人。ベースドラムとスネアドラムのコンビがリズムを受け持つ、トラディショナルなブラスバンド・スタイルです。(当初はスタッフォード・エジー(トロンボーン)もアナウンスされていましたが、体調の都合により、残念ながら出演キャンセルとなっています)。


さて、私が観たのはこの日の2ndショー。客電が落ち、拍手に迎えられメンバーがステージに上がる。ステージ上に雑然と並べられていた、ベースドラム、スネアドラム、チューバ、トロンボーン等を各々がおもむろに手にし、始めた演奏は「jambalaya」、ハンク・ウィリアムスがルイジアナのバイユーを舞台に歌った名曲ですね。続いてニューオーリンズが誇る偉大なシンガー、ファッツ・ドミノの「I'm Walking」、さらにニューオーリンズが生んだジャズ巨人、シドニー・ベシェでお馴染みのスタンダード「I've Found A New Baby」と続く。

セカンドラインなビートにホーンが飛び交うごった煮グルーヴ。いやはや、これぞニューオーリンズですよ!ですが、そのグルーヴは思いのほか渋いと言いますか、緩い感じ。もっと前のめりにグイグイ攻めてくるかと思ったんですけどね。リバース・ブラス・バンドと言えば、昔はダーティ・ダズンに比べて随分やんちゃなイメージを持っていたもんですけど。そう言えば、最新作「MOVE YOUR BODY」も、グラミー受賞の前作「REBIRTH OF NEW ORLEANS」も、モダンと言うよりはトラディショナルな雰囲気を強く感じさせる愛すべき作風でした。頻繁なメンバー・チェンジで若い血を入れつつ、しっかりと伝統を受け継いで行く、それが今のリバースのスタイルなのかもしれません。もちろん”緩い”と言うのはニューオーリンズ特有の味であり、堪らない旨味なのです。そしてそのグルーヴの懐の深いこと!やっぱ本物は違うな~と、感慨もひとしお。

そのリズムの根幹を担うベースドラムのキース・フレイザーこそ、このバンドの創立者の一人で、今回の来日メンバーにおけるまさにバンドの柱心。シンバルをマイナス・ドライバーで叩いてるそう。流石レジェンド!そして若きスネアドラムのジェナード・アンドリュース。この彼はかの地を代表するトランぺッターの一人、ジェイムス・アンドリュース(トロンボーン・ショーティの兄)の息子さん。2人とも決して派手なことはしませんが、ハネたリズムを堅実に積み重ねて行く。そしてそのリズムにうねりを加えるチューバがデスモンド・プロヴォスト。この彼は、ジェナード・アンドリュースと供にNEW BREED BASS BANDという若手ブラス・バンドを組んでいる逸材。このリズムを担う3人がステージ後方に陣取る。

ステージ前方には、向かって左から、バンドを引っ張るトランペットのシャドリック・オーノレー。彼はトランペットだけでなく、歌も歌うし、MCもやる。そしてヴィンセント・ブルーサードのサックス、グレゴリー・ヴィールズのトロンボーンと並び、この3人のホーンが煌びやかに絡み合う。その瑞々しくも自由奔放なアンサンブルはまさにニューオーリンズ! まあ、前面に3管しかないのはブラスバンドとしてちょっぴり寂しい感じもしましたが、それがかえってトラディショナルな魅力を際立たせていたかもしれません。

さて、中盤はブラスバンドらしく、「Keep That Body Shakin」~「It's All Over Now」~「Hot Venom」へと切れ目無しに繋がれる。しかも「It's All Over Now」辺りからバンドもエンジンがかかってきた様子で、グルーヴもギアが一段上がった印象。続く「Hot Venom」での次から次へとスピーディーにリフを畳み掛けて行くファンキーなノリも強力。サビを観客に歌わせたり、コール&レスポンスで盛り上がったり。

「Texas Pete」、「Take 'Em to the Moon」と最新作からの曲が続き、お待ちかねの「Rebirth Got Fire」。この曲のホーンリフが始まると、自然にテンション上がりますよね。そして観客達でサビを歌って大盛り上がり!さらに「Tornado」、「I Feel Like Funkin It Up」とキラー・ソングが続き、会場もパーティー・ムードになってくると、そのまま「Do Watcha Wanna」へと雪崩れ込む。シャドリック・オーノレーが「これからセカンドラインだ!」みたいに呼びかけると、いよいよ観客達も総立ちに。そしてリバースのメンバーは全員が演奏しながらステージを降りて行く。さあ、パレードだ!!観客達も白いナプキンを振り回しながらついて行く。会場内は一気にニューオーリンズのカーニバルな空気に満たされる。メンバー達は一列になって会場の後ろの方まで巡って行く。やりますね~。堪りませんね~。

熱狂のうちに一旦メンバー達はステージを降りる。もちろん熱気はまったく下がらない。アンコールは「Take it to the Street」。先ほどまでのパレードの熱をそのまま引き継いで、観客総立ちのまま駆け抜ける、必殺のニューオーリンズ・ブラス・バンド・ナンバー。ファンキーこの上ない演奏で終了。やっぱニューオーリンズはいいですね!


↓この日のセットリストはこんな感じだったかな?

01. jambalaya
02. I'm Walking
03. I've Found A New Baby
04. Keep That Body Shakin
05. It's All Over Now
06. Hot Venom
06. Texas Pete
07. Take 'Em to the Moon
08. Rebirth Got Fire
09. Tornado
10. I Feel Like Funkin It Up
11. Do Watcha Wanna
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12. Take it to the Street


*間違ってましたらごめんなさいね。



終演後はサイン会。私もシャドリック・オーノレーと、ヴィンセント・ブルーサード、グレゴリー・ヴィールズの3人からサインを頂きました。ジェナード・アンドリュースとデスモンド・プロヴォストのお二人はツアー・メンバーでしょうから仕方ないとして、キース・フレイザーがサイン会に来てくれなかったのは残念でしたね~。


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