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荒俣宏 著
とても長いのだ。
しかし一度うっかり手に取ったら、なんだか読みふけってしまい、ついに読破した。
もう結構前に映画化だのアニメ化だの漫画化だのされたので知っている人は多いかも。
舞台も明治末期から昭和73年までの東京という、これまた長く壮大なスケール。
そう、まだ平成ではなかったのね。
もともとは平将門の怨念から始まり、帝都破壊をもくろむ怪人・加藤保憲が時代をまたいで
暗躍し、それを阻止しようとする人々が戦うというもの。
トンデモっていえばトンデモなのだが、風水、奇門遁甲、フリーメーソン、陰陽道など
著者の博識ぶりを遺憾なく発揮し、のちの風水ブーム、陰陽師ブームのきっかけまで
作ってしまった大変な作品なのだ。
実在の人物である渋沢栄一、甘粕正彦などの大物が折々登場し、話にリアリティを添える。
かと思えば、多くの小学校に設置されていた二宮尊徳像には、魔物を封じる意味があるとか、
昭和70年あたりの日本では、自転車で疾走しながら通行人を跳ね飛ばす「サイクラー」を
避けるため、ビルの入り口がすべて2階になってるとか、もはやリアルを超越してるんだが
妙にありそうなエピソードも満載。
なんだかんだで長くても飽きません。
たったひとつ女性の言葉づかいが現実離れしてる気がするのだ。
「~ですわ」「~と思いますの」
とかって、若い子には死語と言えるのではないか。
それともこのパラレルワールド・帝都においては、男勝りに活動的でいながら、
しなしなと乙女なしぐさと言葉をもつ女性が多数派なのか。
まったく自分の好みの節操のなさには参るのであるが、これってかなり面白いです。