息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

セリヌンティウスの舟

2012-06-23 10:23:33 | 石持浅海
石持浅海 著

石垣島でのダイビングツアー。
大しけの中でお互いの体をつなぎあい、命を取り留めた仲間たちは
だれよりも強い友情で結びついているはずだった。

メンバーの一人・美月が自殺した。ダイビングの打ち上げの夜、青酸カリを
飲んだのだ。友人たちが寝ているすぐそばで。
しかし、即死をもたらしたはずのそのビンは口がきちんと閉められていた。

本当に美月は自殺だったのか。そうでなければいったい誰が手をくだしたのか。
遺された5人の間に生まれた疑心暗鬼。
マンションの一部屋を舞台に謎解きが始まる。

友情や性善説がさきにあるので、なんだか疑うのが心苦しい。
そんなところからのスタートだけに、さぐりさぐりのストーリーはテンポが遅い。
美月がうつぶせに倒れていたこと、ビンが転がっていたこと。
小さな出来事を思い出しながら、その理由や根拠を探す。

ディスカッションを重ねていくにつれ、それぞれのキャラクターが明確に
浮き彫りにされていくのも面白い。その過程を楽しむ作品ともいえる。

ずーっと引っ張っていった割にはラストはあっさりなのが個人的には残念。
ここは好みが分かれそうだ。

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