息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

鉄塔 武蔵野線

2013-02-11 10:06:09 | 著者名 か行
銀林みのる 著

小学5年生の夏休みといえば、ひとりでもいろんなことができるようになって、
行動範囲もぐんと広がる頃だ。親としてもちょっと安心して目を離すから
やや暴走しがちでもある。

まさにその5年生である主人公・見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。
「武蔵野線75‐1」。
これはなんの番号なのか、順番に並んでいるのか。
遠く連なる鉄塔を見ながら彼の冒険が始まる。

男子小学生の足といえばもちろん自転車。
夕方までに帰らないと母親から大目玉をくう。
その条件下で小さな旅がスタートした。

やがて小学3年生の暁が加わり、時に自転車がパンクしたり、作業員に叱られながら
ひとつずつ1号へと向かっての旅が続く。
数字を追いかけるだけでなく、鉄塔を好みによってタイプわけしたりするのも
いかにも小学生男子らしいマニアックさだ。
しかし、ついにゴールへはたどり着けないままに夏休みは終わり、
見晴は引っ越していくことになる。

好きな人には絶対たまらない。
夏の草の香り、ぎらぎらする太陽、足もとに濃く落ちる影。
雲の流れとともに道路を走る光の縞。

ラストは思いもかけない嬉しい贈り物が待っている。

あれ?これって夏休みシーズンに読めばよかったかも。

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