息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

私を知らないで

2013-03-12 10:26:08 | 著者名 さ行
白河三兎 著

オリジナル文庫大賞BEST3というよくわからない帯がついていたのだが、
(失礼)買ってしまった。
個人的にはちょっと微妙。それは私が年だから。

中学生の教室でのカーストやら立ち回りは実によく表現されている。
転校生として入り込む主人公・僕は、その難しい立場ゆえに
気配を消して生きようとしている。

それなのに、もうひとりの転校生・高野が加わったことで急激にバランスが崩れる。

原因は透明な存在ともいえる扱いを受けている通称キヨコ。
両親の出奔と闇からの借金で、祖母とともにどん底の暮らしをし、
その精神の強さとプライドの高さが、クラスメイトと馴染むことを拒否する。
彼女を無視することが踏み絵となり、どうにか保たれていた調和は、
高野の正義感で崩壊し、僕の立場も危うくなる。

キヨコを尾行したことで真実に近づいた僕。
彼女のとことんやるせない境遇は、中学生には重かった。

ラストは切ないながらも素晴らしい。しかしご都合主義だなあ。
やっぱり大人目線で見るとこれはないと思う。
急に現実に引き戻された気がした。
まあ、ひとそれぞれでしょうが。

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