篠田節子 著
平和そのものの日本で暮らしていると、世界のどこかで起こっている
争いも飢餓も遠いものとしてとらえてしまう。
根底から覆したのが昨年の大震災である。
安穏とした日々が永遠に続くものではないという事実を突き付けられた。
それでも、テロだの革命だのというものを、わが身にふりかかる
可能性があると思う人は少ない。
“遠くの出来事”というのが多くの人が抱くイメージだろう。
主人公の新聞社社員・永岡は、そんな人よりはずっと覚悟があった。
政変により国交が断絶したパスキムの状況を探ろうと単独侵入を
試みたのだから。
それでも現地は想像を絶する惨状だった。
虐殺された多数の僧侶。そして革命軍にとらわれる。
絶世の美しさを誇る仏教美術とそれを守る信者の国だったパスキム。
打ち砕かれ、暴力が支配する独裁政権に置かれているのに、
ヒマラヤの小国であるがゆえに国際的にも黙殺され支援も望めない。
祈りだけで暮らしてきた国民の弱さ。これではいけないという
革新への願いがいつしか、狂気ともいえる極端な方向まで走ってしまう。
飢餓と労働に苦しみ、子どもまでが戦いに駆り出され洗脳される。
リアリティにあふれた過酷な日々の描写の底辺に流れる、
宗教観、哲学、美意識。
そして最後に主人公が選び取った道。
深く考えさせられる、そして考えても考えても尽きない、
素晴らしい物語だ。
平和そのものの日本で暮らしていると、世界のどこかで起こっている
争いも飢餓も遠いものとしてとらえてしまう。
根底から覆したのが昨年の大震災である。
安穏とした日々が永遠に続くものではないという事実を突き付けられた。
それでも、テロだの革命だのというものを、わが身にふりかかる
可能性があると思う人は少ない。
“遠くの出来事”というのが多くの人が抱くイメージだろう。
主人公の新聞社社員・永岡は、そんな人よりはずっと覚悟があった。
政変により国交が断絶したパスキムの状況を探ろうと単独侵入を
試みたのだから。
それでも現地は想像を絶する惨状だった。
虐殺された多数の僧侶。そして革命軍にとらわれる。
絶世の美しさを誇る仏教美術とそれを守る信者の国だったパスキム。
打ち砕かれ、暴力が支配する独裁政権に置かれているのに、
ヒマラヤの小国であるがゆえに国際的にも黙殺され支援も望めない。
祈りだけで暮らしてきた国民の弱さ。これではいけないという
革新への願いがいつしか、狂気ともいえる極端な方向まで走ってしまう。
飢餓と労働に苦しみ、子どもまでが戦いに駆り出され洗脳される。
リアリティにあふれた過酷な日々の描写の底辺に流れる、
宗教観、哲学、美意識。
そして最後に主人公が選び取った道。
深く考えさせられる、そして考えても考えても尽きない、
素晴らしい物語だ。
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