息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

アベラシオン

2011-12-15 10:34:17 | 著者名 さ行
篠田真由美 著

北イタリア・山深い地に立つ「聖天使宮」。
ハプスブルク家の血を引く富豪セラフィーノに招待を受けた
イタリア美術を学ぶ日本人留学生・藍川芹を迎えたのは、
セラフィーノの弟で、車椅子の美少年・ジェンティーレだった。

庭園、邸宅そして調度品、どれ一つとっても宝に等しい美術品の
数々に圧倒される芹。その豪奢な館は多くの謎を抱えていた。

連続殺人。ナチスの影。そしてハプスブルク家に伝わる大きな秘密。

何がすごいって美術、歴史にまつわるうんちくの数々。
とにかく博識。とにかく深い。
聖杯伝説、聖遺物、地下墓所、迷宮、錬金術、永久機関など、
興味深いキーワードがてんこもり。
ヨーロッパの名家とは、これほどに智と資の裏付けをもっているのだと
しみじみするほどだ。
そして、そこにはもちろん同量の闇もある。

ラストシーンは驚きと切ない想いが交差する。
天使は天使ではない。

オチと考えると好みが分かれるところだが、ゴシックの香りや
オカルトの雰囲気など私にとってはすごくツボ。
読んでいるうちにイタリア美術の知識も復習できたし、なんだか
得した感じの一冊。

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