哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

小林秀雄さん

2008-11-16 10:32:16 | 時事
 池田晶子さんが世代を超えて惚れていた(と思う)小林秀雄さんの、歿後四半世紀特集として、「新潮」12月号に小林秀雄さんの肉声講演の抜粋が特別付録CDとして付いている。もとの講演集は全7巻でCD化されているが、最初はカセットテープで売られていたもので、私もカセットで持っている。

 この付録CDで久しぶりに小林秀雄さんの声を聞いた。冒頭のベルグソンの「戦場で夫が倒れた夢」では、科学的考え方にどっぷり毒されたものの見方、現代人のものの捉え方の限界を示している。池田晶子さんもよく書いているように、科学は一つの見方(パラダイム)であって、それが全てではない。

 また、未発表音源である「勾玉について」は、頭で行う美術鑑賞ではなく、美そのものを感じることを勧めている。最近私自身が知人から「美術鑑賞の仕方を教えてほしい」と聞かれたが、私は「自分が良いと思うかどうかを基準にすればよい。自分の感性を信じることだ」と言った。その話に通じているようで安心した。


 書物で読むだけでなく、その人の肉声を聞くと、なんとなく書かれたものに厚みが感じられてくる。池田晶子さんも講演やテレビ出演があったはずだから、是非これらの肉声も手に入れられやすいように販売してほしいものだ。