哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

ノーベル賞をとるためには??

2010-10-10 08:53:53 | 時事
 テレビの報道内容で「おかしい」と思うことは少なくないが、最近ではノーベル賞の日本人受賞の話題で、「ノーベル賞をとるためには、どうすればいいか」などと発言する例が多い。挙句の果ては、最近の科学関連の財政支出が少ないとか、他国はここ数年科学関連の支出は増えているのに日本は横ばいだとか、日本ももっと金をかけなくてはいけないかのような議論に誘導しているかのようだ。

 今回の日本人の化学賞受賞は70年代の研究らしいが、果たしてその当時に日本は他国と比較してどれだけ多く科学関連に財政支出していたというのだろうか。確か、昔々の物理学賞受賞のときだって、金のない日本人が頭脳で獲得したノーベル賞と言われたはずだ。要するに金の問題にすりかえるのはおかしいのではないか。ここ数年日本の科学関連の財政支出が少ないのは、他国に比較しても巨額な財政赤字のためなのだから、当然であろう。論ずるのであれば、金の問題ではなく教育の問題ではないか。

 そもそもノーベル賞をとることを目的のように考えるのが、本末転倒であることは誰にでもわかるだろう。ただ今回の日本人受賞者は、ノーベル賞をとることを夢として頑張ったという。ノーベル賞を受賞することは、利害関係のない第三者が、功績をすばらしいと誉めてくれることだから、確かにうれしいことだろう。誉めることや誉められたいと思わせることは、能力を引き出す手法ではあるのだから。