哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

娯楽が人生(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2006-04-23 18:09:51 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮連載「人間自身」今週号は、「娯楽が人生」という題でした。ポイントとなる文だけ抜粋します。

「外から提供される刺激のことを娯楽だと思い込んでいる現代人は、本当の娯楽を知らない。自分で楽しむということを本当は知らないのだ。だから人は病的に退屈を恐れる。強迫的に娯楽を求めるのは、退屈することが何よりも怖いからだ。
 人生に退屈を覚えるなんて、人はいつまで生きているつもりなのだろう?」



 今回の文章のきっかけは、ソフトバンクがボーダフォンを買収した際に、「インターネットと携帯の融合で質の高い娯楽を提供する」と社長が言った事を受けているそうです。

 ディズニーランドや映画とか、娯楽としての刺激や情報は、常に外から入って来るようなイメージで我々は捉えています。観光も、知らない土地を訪れるという意味で外からの刺激ですから、同様なのでしょう。

 このように外からの刺激で楽しむことしか知らないことを、池田さんは「現代人は自分で楽しむということを本当は知らない」と言います。「本質的な事柄の存在に気づくと、人は退屈しなくなる」とも。これは何を言っているのでしょうか。

 「本質的な事柄」とは、池田さんであれば「考えること」の対象となる事象全般を言うのでしょうが、さらに「考えることに限らない。自分の仕事を見出している人なら知っている。」とも言っていますから、例えば天才と言われる人や成功した経営者なども、自分の仕事を見い出し、退屈しない人として挙げることができるのでしょう。

 そしてさらに言えば、別に天才でなくても「自分の仕事」を見い出し、そのために、人生に打ち込むことができれば、そこに「退屈」はないのでしょう。