かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

夏の終わりに

2016-09-01 08:06:41 | 家族あれやこれや

いつだったか思い出せない。

娘桃子が「家族そろって、どこか旅行にいきたいなあ」とつぶやいた。

「それ、やれるようにしようぜ」とぼくはたしか共鳴した。

こころのどこかで、実際できるかどうか、半信半疑だったけど。

息子たち、娘一家、それぞれ、いろいろな人生問題に直面しながら

日々暮らしている。簡単ではないかも。

生きているうちに、できたらなあ、ともおもった。

それが、8/26~27、一泊のキャンプだったけど、なんとか寄り合えた。

願っていたら、叶うこともあるんだなあ。

 

        (一)行く、行かない

 

26日朝、「さあ、出かけようぜ」というとき、桃子の息子晴空(小5)が

「行きたくない」と言い出した。

太郎が大阪から着いた。

晴空からみたら伯父さん。

「3000円あげるから、行こう」と太郎が誘ったら、行くとなった。

「お金がほしいだけのことじゃないよね」まわりの見方だった。

 

実は、太郎からも、1週間前は、「仕事が忙しいし、にぎやかなのは好きじゃ

ないし、やめとくわ」と電話があった。

そのあと、妹桃子と話して、1泊なら行ってもいいと決めたらしい。

太郎から再度電話。

「親父ら二人、ゆっくりできるように温泉旅館を2泊、予約するけど、

行く?」

うーん、太郎、どんな気持ちなんだろう?

照れて、「いいよ、そこまでしなくとも」いうのが瞬時に出てきた。

「ああ、うれしいなあ。行かせてもらうよ」

口からでたのは、そんなコトバだった。

 

前日の夜、桃子の家にいったら、娘の(ふゆ)が塾があるから

行かないと愚図っていたらしい。

桃子が「ダメ、行くの!」とダメ押ししたら、あっさり愚図らなくなったと

聞いた。

 

小浪の息子秀剛と悠海夫妻、和(わたる・3歳)・駿(8ヶ月)、それに

小浪の次男譲。

えーと、何人になる、指を折ったら、11人。

そんなこんなの11人が2台の車に荷物を詰め込んで、鈴鹿を

発ったのが9時ごろだった。

 

    (二)雨の森・平湯温泉キャンプ場

 

午後、キャンプ場に到着。涼しい。

緑の森が夏の青い空の下で、こんもり日陰をつくっていた。

キャンプ場へは、車で入れる。

一つ、常設テントを借りて、その近くに持ってきたテントを二つ張る

段取り。

常設テントには、ぼくが入るらしい。ヨレヨレの老人の扱い。

この11人の連中には、指示を出す者がいない。

妻小浪は、今回の旅行で、1泊のキャンプ以外に、次の宿泊の段取りも

していて、その面では、一番、全体のことは考えていたと思う。

彼女なりに、要所要所は口を挟んでいたが。

 

車2台、常設テントの前に止めた。、

どこに二つのテントを張るか?

あっちがいい、いやこっち、そこは斜面、こっち。

「だれだあ、そんなとこに車止めたのは?」

「車、移動して」

 

車からテント用品一式下ろして、組み立てに入る。

わいわい言いながら、形が出来る。

 

「テントの床、そのままじゃあ、まずいんじゃない」

「貸し出し用のすのこがあるよ。一枚200円」

「誰かとってきて」

だれともなく、とりに行く。晴空や風友も、取りに行っていた。

「3枚じゃダメだ、もっと」

二つのテントが張り終えた。

もう、夕方になっていた。

 

BBQの準備は桃子たち。

 

 

先ず、温泉に行ってこよう。

なんんとなく、そんな流れに。

秀剛「オレは行かん。BBQの炭を起こしておく」

みんなで、車で出かけた。

キャンプ場近くにある平湯温泉、露天風呂が大きく、なかなか風情が

あった。

晴空と露天風呂をあちこち渡り歩いた。

 

キャンプ場に帰ると、もう炭は赤々としていた。

「遅かったなあ」と秀剛。

なすや牛肉も焼きはじめていた。

もう暗くなっていた。

ときどき、雨粒が落ちてくる。

秀剛も急ぎ、温泉に行った。

BBQがなんとなくはじまった。

秀剛が温泉からもどって、乾杯したっけなあ。

めいめい、ビール飲んだり、肉をつついたり。

ふゆや晴空、それに和(わっ)くん、駿くんがいるだけで、その場が

ゆったりして、遊びの間というか、なにが起きるか分からない、

なにが起きても、楽しくしていこうみたいな空気を感じた。

かく感じるぼくは、ただ座って、ジュース飲んだり、肉など食べている

だけ。 

そうだなあ、すでにもうあの世に居ながら、みんなを眺めている如く?

 

雨粒は止んだり、少し降ったりしていた。

樹木の葉が傘の代わりになっていた。

宴の間は、平和だった。

暗い中で、「さあ、デザートだ」と秀剛が作ったスイカを分けて食べた。

「甘いよ」「甘いぜ」

とか言い合っていたら、大粒の雨が降りはじめ、葉っぱの傘では

凌ぎきれなくなった。

おおわらわで、店じまい。

 

雨で濡れた。身体が冷えている。

平湯温泉の玄関に足湯があったよね。

足湯してから、寝ようぜ。

雨が降っている。足湯のところ、屋根がない。

傘でいけるよ。

よく、反対するものがいなかったもんだ。全員出かけた。

今思うと、不思議。

行ってみたら、雨は強くなってきて、傘をさしても濡れてしまう。

でも、それぞれ、どんなこと思っていたんだろう。

そんな雨に濡れながら、孫のふゆや晴空も足湯をしていた。


桃子は、傘さして足湯しているぼくのところに来て、しばらく膝に

座って、一つの傘の下で重なって、いっしょに足湯した。

まだ、3,4歳のころ、膝に抱っこしたときのこと思い出した。

わいわい言いながら、足湯しているその連中、傍から見たらどんな

風に見えたんだろう。

 

戻って、ぼくらは、常設テントに。

しばらくして、秀剛一家が常設テントに避難してきた。

彼らのテントに雨が滴り落ちて、ビショビショ、寝るに寝られなくなった

のだった。

わっくん、しゅんくんも交えて、5人で寝た。

テントの屋根に雨の滴が、一晩中落ちて、響いていた。

屋根があるって、有難いものだ。

子どものころ、台風が通過する夜、暴風雨の音を聞きながら、

怖いけど、妙に安心した気持ちがあったこと思い出した。

 

桃子一家と太郎たちのテントは無事だった。

雨音に負けじというように、桃子たちのテントから笑い声やら

何か奇声に似た声がだいぶ深夜まで聞こえて来た。

「行く、行かん」と直前まで言っていた、太郎、ふゆ、晴空が

桃子といっしょになにかゲームをしているらしかった。

彼らに何が起きているんだろう。


雨に降り籠められたときの、なんともいえない楽しい興奮が

あったのかな?

 

      (三)森のモーニングカフェ

 

朝、雨はだいぶ小降りになっていた。

わっくんは、ぼくの隣でぐっすり眠っている。

二人だけが、テントのなかにいた。

小浪が、コヒーを持ってきてくれた。

譲が炭を起こして、湯を沸かしたらしい。

 

テントから少し離れたところに屋根がついた水場がある。

なんとはなしに、起きてそこへ行った。

小雨が降っている。

BBQ用の炭台で譲がパンを焼いていた。

手をかざすと、温かで気持ちいい。

悠海さんが、炊飯器を持ってきた。昨日、炊いて、あまり食べていない。

「チャーハンにしたらどうかな?」

 

 

桃子一家。太郎も水場に寄ってきた。

何するでもない。かといって、何もしないというのでもない。

昨日残した肉をもってくるものがいた。

けっこうあった。

それを焼きはじめた。

桃子がコーヒーを入れていた。

パンをちぎって焼いている人もいる。

森の水場は、ゆったりした時間が流れているようだった。

子どもたちは、立ったり座ったり。

わっくんは、「ふーゆ!」と、いつも探している。

いっしょに居たいらしい。

「どんなこと思ってるんだろうね」まわりの疑問?

晴空は、そのころ「帰ろう、うちに帰ろう」と桃子に絡んでいた。

 

カセットコンロとフライパンが持ち込まれた。

 ふゆがピーマンや玉ねぎを刻んでいる。

 

「昨夜、炭で焼いた鶏肉もチャーハンにいれよう」誰かが言った。

はじめ、秀剛がフライパンに具を入れてつくりはじめた。

「いっぺんに、そんなに入れたら、ダメよ。二つに分けて!」

と小浪。

気がついたら、小浪がフライパンをもって、器用にフライパンを

振りながら、ご飯をひっくり返していた。

ご飯粒が、そこら辺に飛び散っていた。

塩・胡椒で味付けした。

だれかが、「醤油入れたら、もっと旨くなるんじゃない」

やってみたら、意外や旨い。

 

なんにもしない。ただ見ているだけ。

森の空気がおいしい。

何を食べるより、この空気がご馳走だ。

息子や孫たちが、何気なくそこで何かしているのを見ているのが、

とても心地いい。そんな自分をもう一人の自分が見ている。

 

息子たちは濡れたテントをどうたたんで、どういうふうに車に

積むか。誰の車に積むか。相談していた。

そのうち、小雨のなか、男どもでたたみに行った。

そのうち、車に収まっていった。

雨も止んでいた。

 

昼前、太郎、桃子一家は鈴鹿向かって平湯の森を出発した。

秀剛一家とぼくらは、太郎たちと別れて、穂高方面、栃尾温泉の

旅館に向かった。

 

 

 

 


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