懲りない坊主・・・

やってしまった・・・。私は、まだまだである。あるご婦人に「私もあなたと同じ宗派のお寺の檀家なんですが。先日本山へお参りに行った時、売店で(親しみのこめるという意味で)何気なく、うちのお寺も同じ宗派なんですと言ったら、普段は入れないところまで案内していただいて、嬉しかったです」とおっしゃった。そのまま「良かったですね」と流せば良かったのだ。ところが、私はこう言ってしまった。「お寺の名前を出したなら、灯明料で余計にかかってしまいましたね」。彼女は???。関係者の名前を出すことで利益を被った場合、あとに不義理を残さぬよう、相応の対応をするのが浮世の世界だと、私は思う。浮世の価値観で生きていない坊主が、浮世の価値観で、もの申してしまったのだ。申し訳なかった思う。それでも、思う--親しみを増すためであっても、関係者の名前を出す時は、注意が必要だと。極端な話だが、講談の中に、こんな会話がある。ヤクザの用心棒になった浪人が「拙者。こう見えても、もと○○藩で××を勤めた者」と言う。すると、相手のヤクザはたしなめる。「お侍さま。今のあなたの身の上を見れば、もと○○藩とおっしゃれば、○○藩、ひいては○○藩のお殿さまの顔に泥を塗るようなもんですぜ」--本来坊主が捨てているはずの、義理と人情の話である。

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