夜だから

　夜だからきれいに見えるものがある。
　暗いからきれいなのだ。

　無明の中できれいに見えるもの－－仏教的な考え方、感じ方もその一つだが……

　そのきれいに見える、実は、その人自身が放っている光りなのだ。
　ほかに求めても……仕方ない。
　「ああ、駄目だな」と思う自分を卑下すれば光量は減る。
　「数年後にはどうにかしていたいものだ」と今の自分を認めれば、光りが増える。

　一昨日の渋谷の街は、私に、そんなことを思わせた。