三途の川の向こう岸

(前回からの続きです)
 で、どうにか三途の川を渡ったら(江戸時代になると日本ではこの川に渡し船が出来ます。その代金が六文だそうです)……

 向こう岸には、葉っぱの無い木のそばで、おじいさんとおばあさんがニコニコ笑って待っていました。

 岸に上がると、お婆さんはニコニコしながら、手を出します。

 不思議なことにお婆さんに手を出されると、私たちは着ていた服を脱いで、お婆さんに渡してしまいます。
 お婆さんは、その服を自分で着るしぐさもせずに、かたわらのお爺さんに「ほいっ」と言って渡してしまいます。
 見ると、お爺さんは、その服をそばの木の枝に引っかけてしまいました。

 「な~るほど、川を渡って濡れた衣服を乾かしてくれるのだ。親切なおじいさんとおばあさんだ」とこちらも思わず微笑みます。

 しかし、どうも様子が変です。
 服をかけられた枝が徐々に下がり始めたではありませんか。それも尋常な下がり方ではありません。濡れた服の重みで下がったのではないのです。

 じつはこの枝は「罪科(つみとが)計り木」という、この岸辺にしか生息しない木なのです。
 服の持ち主が生前に犯した罪や咎(とが)の重さによって、枝が垂れ下がるようになっているのです。

 色々な人の服がかけられれますが、中にはかけたとたんに枝が折れる人も……。あるいは全く枝が下がらない人も……。

--私の場合はかなり下がることが予想されるので、
「棺桶には、枝が下がるのをくい止めるために、つっかえ棒になるようなものを入れてくれ」と家族に頼むことにします。

「地獄の窯(かま) どれどれ 蓋で一休み」

 今日も、明日も、ニッコリ笑っていたいものです。

☆ おかげさまで、今日、『般若心経、心の大そうじ』(三笠書房)の10刷が決まりました。ありがとうございます。┏〇"┓。
 
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