風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

平成から令和へ(下)

2019-05-07 23:44:09 | 日々の生活
 これまでこのタイトル・シリーズで皇室のことばかり語って来たので、最後に私なりに平成という時代を振り返ろうと書き始めると、だらだらとキリがなくなってしまったので、やむなく稿を改めることにして、さらっと総括的なことを書いてお茶を濁すことにしたい(笑)。
 何をだらだら書いていたか・・・自分自身を振り返り、昭和の終わりに就職して、令和になった今もサラリーマンでいるということは、サラリーマン生活の盛り(があったとすれば…の話だが 笑)が平成の30年に重なり、一企業人として思うところがあるだろう、それを総括してみようやないか・・・と始めたわけだが、(清水寺のように1年じゃなく)30年を(漢字一字ではなく)一言で表現するとすれば(と、思いつきで、思いを巡らせると)「コモディティ化」と言えるのではないかと思う(電機業界にいるので、こういう言い方になってしまうのは御容赦頂きたい)。技術で言えば、ムーアの法則(集積回路上のトランジスタ数は18ヶ月毎に倍になる)として象徴的に語られるように、半導体は「産業のコメ」となって産業界を様変わりさせた。市場で言えば冷戦崩壊によるグローバル化とともに、中でも中国という(日本と比べたら10倍くらいだが、欧州の国々と比べたら実に20ヶ国以上を合わせたくらいの)巨大な人口が安い労賃で解放されて「世界の工場」として本格的に稼働を始めた。
 こんな話を続けてもなかなかピンと来ないかも知れないので、具体的に・・・私が入社した頃は、部門(30人くらい)で数台のパソコンと、フロア(150人くらい)で数台のファクシミリ(と言っても知らない人が多いかも知れない 笑)を共有し始め、やがてビジネス・パーソン一人につき一台のパソコンが支給される画期的な時代が幕を開け、いまや個人でスマホを一人一台以上持つ時代である。だから何なんや!?ということになるが、そのスマホとは何者かというと、かつて人類を月に送り込んだアポロ計画の頃には部屋を埋め尽くすほどのスペースを食ったスーパーコンピューターを超えるとも言われるコンピュータ性能を持ち、昭和の終わりから平成の初めに象印の保温用のランチボックスくらいの大きさでお世辞にも携帯とは言えなかったような電話の機能が付き、一眼レフ並みの高性能のカメラやビデオ機能まで付いて、手のひらに収まり、かつて米軍が開発した軍用ネットワークが民生用途に解放されてインターネットと呼ばれるものになって、繋がっている。「コモディティ化」(もとはマルクス経済学の用語らしいが、特別感・高級感が薄れて生活必需品化し、ごく当たり前のものとなる)と呼ばずして何と呼ぼう。日本では「失われた10年」が「20年」となり、その「失われた」という形容詞まで失われて30年になるが、とりわけ後半の20年くらいで給与水準は上がっていないとしても、質的には格段に、なんて生易しいものではなく爆発的に、向上した時代なのだ。いや、それが幸せなのかどうかは別問題ではある。電機業界に身を置く者として、事業の栄枯盛衰(栄と盛と言うよりは忙と貧だったが 笑)をイヤと言うほど味わって、今となっては貴重な経験はそれなりに面白かったと言えなくもないが、後味として残るのは大いなる挫折感のしょっぱさである(苦笑)
 この挫折感は電機業界に限らない。昨年夏頃のダイヤモンド・オンラインが、平成元年と平成30年の世界時価総額ランキング・トップ50を比較していて、日本企業はNTTを筆頭に平成元年に32社もランク・インしていたのに、平成30年にはトヨタの1社のみとなってしまった。片やアメリカは15社→31社、中国は0→8社(香港を含む)と、バブル崩壊前夜で絶好調(というよりゲタを履いた状態)と比較するのはフェアとは言い難いが、世界第三の経済力にしては見劣りする現実である。
 ・・・と、さらっと、月並みな話になってしまった。実はまだ、自分なりに納得いくまで総括できていない。
 その間、日本は少子高齢化で人口減少社会となりながら、いまなお成長神話から脱却できているとは言えない(それを目指す気持ちは分からなくはないのだが)。令和の時代は、高齢化・人口減少で世界の先頭を走る日本が、成長の夢から覚めて実質的な調整が行われ、イノベーションで再び脚光を浴び、GDP(per Capita)ではなく真の豊かさを実感できる時代になるものと(実際にそうなり得ると)期待している。
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