風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

初雪

2016-11-25 00:29:50 | 日々の生活
 朝、この時期に雪が舞うとは驚いた。何しろ先週、秋冬のスーツに替えたばかりで、慌ててコートまでひっぱり出して羽織る始末だ。そして夜の帰宅途上、陽が当たらない道路脇や公園の隅にまだ積雪が残っていたのにも驚いた。都心で11月に初雪が降るのは54年振りと言うから、私が生まれた頃以来のことであり、11月に積雪が確認されるに至っては1875(明治8)年の統計開始以降初めてだそうである。
 気象庁によると、「列島南方で生じていた寒気と暖気の衝突から停滞前線と低気圧が現れ、午後にかけて関東南沖を東へ進んだ。これが関東上空に雨雲をもたらし、雪のもとととなる雨を降らせ」た一方、「列島上空の偏西風が南へ蛇行し、北側の寒気が関東地方まで南下した」ため、「冬の関東平野部に雪を降らせる“定番”の組み合わせ(=列島南岸に現れた低気圧と真冬並みの寒気)」が時期尚早ながら偶然出くわし、随分早い初雪をもたらしたのだという。平年より40日、昨年より49日、早かったらしい。
 たまたま北京駐在帰りの同僚と会議で一緒になって、挨拶代りに雪の話になって、北京の冬は寒いけれども雪は殆ど降らないと聞いた。なるほど、乾燥した大陸の平原は、四方を海に囲まれ水蒸気をたっぷり含んだ大気に包まれる日本とは勝手が違うらしい。
 考えてみれば、南方からの海流と偏西風は、大陸の東の離れに、この緯度にしては珍しく湿潤で緑深い島国を出現させたわけである。初夏の梅雨のほか、秋には太平洋側を台風が、冬には日本海側を大雪が襲う。また、4つのプレートが集まる、世界の中でも最も地盤が不安定な地域の一つであり、火山活動とも相俟って、地震や地滑りが頻発する。今のようにコンクリートで固められた、あるいは土木技術が発達して堅牢な家に住める私たちと違って、昔の日本人はさぞ苦労が多かったことだろう。こうした自然環境の厳しさが、長い年月の間に、この島国に暮らす日本人の中に、自然と共生し自然の中に八百万の神を見る、清らかで諦めの早い、しかし厳しいが故にお互いに助け合う、穏やかな精神を育んだのだろう・・・などと勝手なことを考えてみたりする。まあ、良くも悪くも、と言うべきだろうが。
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