風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

日本隠しの韓国

2019-07-16 22:35:07 | 時事放談
 韓国のことを書くのは甚だ不愉快で実に疎ましく、極力控えるようにして来たが(苦笑)、今回までは続けたいと思う。別に韓国の一般国民のことが嫌いなわけではないし、海外とりわけ米国駐在中は朝鮮戦争帰りの米軍人家族が開く韓国料理店にお世話になったので、韓国料理には愛着もある。ところが政治レベルとなると、日本は朴クネさんから相当な嫌がらせを受け、文在寅政権の日本への感情的な反応ったら、これまでになく辟易してしまう。これほど感情的になるということは、余程やましいことがあるに違いない(笑)
 かつての日本の高度経済成長を支えたのは「ものづくり」の力であり、存立基盤は資源を輸入し加工して輸出する貿易立国にあった。それは安い円に支えられた側面もあり、1985年のプラザ合意以降、日本経済は(その後バブルに至る)大きな変革を強いられ、冷戦崩壊に伴って東側(東欧や中国)が西側の経済に組み込まれるにつれて(言わば韓国や台湾、さらには中国に後追いされて)日本の「ものづくり」の空洞化が進んでいく。しかしそれは、個々の企業はともかく産業レベルで見れば、「スマイル・カーブ」の底辺(すなわち付加価値が最も乏しく儲けも少ないところ)にある「組立て」を諦めたことを意味するだけで(余談だが中国も「中国製造2025」でその底辺からの脱却を目論み、米中摩擦の淵源でもある)、日本経済の強さは、防衛装備庁の方によれば素材や部品にあると言い、それに「ものづくり」を支える製造装置産業も加えるべきなのだろう。このたびの韓国に対する輸出管理の運用見直しは、韓国から報復的と言われ、確かにこれまでの韓国の日本に対する徴用工問題をはじめとする外交姿勢を謙虚に反省し改める契機にして欲しいという安倍政権の気持ちを理解させる必要はあるが(まあ、そう簡単には行かないだろうけど)、まさに日本経済の強さをテコにしたものだった。
 韓国で何が起こったかというと、韓国が世界に誇る半導体やスマホの中身の多くが、実は日本の部品や技術に支えられているという事実への驚きと衝撃が、一般国民の間に広がっているという。わずか三種類の輸入素材で国を挙げ大騒ぎになっているからだが、これは、2年ほど前だったか、中国の通信機器メーカーZTE(中興)に対するアメリカの制裁によって中国内で起った現象に似ている。中国政府は、スマホだって自製できると自慢するなど、すごいぞ!中国♪みたいな国威発揚の映画を作成して上映していたところ、折悪しくZTEに対するアメリカの制裁(華為と同じEntity List 掲載)が始まるや、アメリカ製の部品入手難でスマホ生産が止まってしまい、映画の上映も突然の中止に追い込まれたのだった。
 産経新聞のソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘さんによると、韓国ウオッチャーの間では昔から韓国の「日本隠し」という言葉が語られてきたという。「戦前の日本統治時代に韓国の近代化が進んだといういわゆる『植民地近代化論』はともかくとしても、少なくとも1965年の国交正常化以降の韓国の発展に対する日本の協力、貢献を無視し隠してきた」ことを指し、「こうした『日本隠し』は韓国の経済、社会のあらゆる分野に存在する」(産経電子版)という。
 実際に、4月25日付の朝鮮日報(日本語版)の記事「韓国小学校教科書から消えた『漢江の奇跡』」によると、今年3月に小学校で使用され始めた社会科教科書から、その記述が削除されたという。「漢江の奇跡」は、ご存知の通り、1965年の国交正常化以降、朴正熙政権までの保守政権の時代に進んだ経済発展を指し、「反日」と「保守政権の否定」というイデオロギーに凝り固まった文在寅政権は、この事実を歴史から消し去りたいのだろうと解説される。文在寅大統領にとって、韓国の歴史とは左翼政権の金大中大統領の誕生(1998年)から始まったものらしい。いやはや。そして、この「漢江の奇跡」こそは、1965年の日韓基本条約・日韓請求権協定により、日本からODAも含め総額約11億ドルもの経済援助をせしめて、元・軍人や元・徴用工や元・慰安婦への補償には回さず、高速道路やダムや発電所などのインフラ投資に集中投下したことで可能になったもので、実に今の徴用工問題と見事にシンクロする。
 勿論、それだけではない。そもそも韓国の反日教育は根強く、今なお健在で、小6社会科の教科書を見ると、歴史領域の71ページのうち、日本統治直前から独立までの「反日(抗日)」史におよそ4割、28ページも割き、1章2節の「日本帝国の侵略と光復のための努力」では、韓国社会で頻繁に耳にする語句「日帝(イルチェ)」を《日本の「帝国主義」または「日本帝国」を短くした言葉で、自分の国の利益のために数カ国を侵略した日本を示す言葉》と説明するなど、韓国では日韓について小6の子供から「日本を懲らしめる韓国」という勧善懲悪の構図でとらえさせていると、つい最近、教科書を調べた産経新聞の加藤達也さんは憤る。ほんの10数年前、マレーシア・ペナン島に駐在していた頃、インターナショナル・スクールで仲良くなった韓国人のお母ちゃんから真顔で「日本人って野蛮じゃなかったのね」と言われた家内が呆れていたのを思い出す(苦笑)が、懲りない韓国は変わらないようだ。
 つい最近も、創立50年の韓国ヤクルトの創業者が亡くなったことにひっかけて、韓国マスコミはその功績を称えるとともに、人気と親しみの「ヤクルト・アジュマ(おばさん)」のことを紹介したらしいが、韓国の人たちはヤクルトが実は日本発のビジネスとして韓国社会に貢献していることを全く知らされていないと報じられた。Wikipediaで「韓国起源説」と引いてみれば分かるように、孔子からソメイヨシノまで、何でも自国起源にしてしまう性向の韓国人のことなので、さほど驚かないが、日韓関係を冷え込ませている原因は、このあたりにあるように思う。
 こうして再生産され続ける反日イメージは、最近、近畿大国際学部の李潤玉教授が日韓の三大学で実施した学生意識調査にも表れていて、「日本に親しみを感じる」と回答した韓国の学生は70・4%にのぼるのに、「日本の政府を信頼できない」と回答した学生は80・8%にのぼったという。このギャップは、韓国の事大主義(その地政学的に不幸な環境から、かつてのロシアや中国などの大国につかえる)だとか、小国意識(で甘えが許される)だとか、儒教社会に特有の「恨」だとか、いろいろ解説されるが、要は韓国にあっては政治が極めて脆弱で、韓国政府は(朴クネさんの)保守派にしても(文在寅さんの)革新派にしても、日本のことを政治利用して止まないことの何よりの証拠であろう。
 7月9日付の韓国・東亜日報に、「韓国の『急所』を突く!」との大見出しが打たれた6年ほど前の週刊文春(2013年11月21日号)の誌面が紹介されて、話題となったらしい。この東亜日報の「6年前から徴用工補償問題で“征韓”論」と題された記事では、安倍官邸において韓国への制裁措置の検討がなされていると6年前に週刊文春が報じていたにもかかわらず、韓国の企業も政府もその対応を怠ったと指摘しているという。それもそうだが、文春オンラインに掲載されたこの6年前の記事によると、「安倍総理周辺によると、総理は『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただ愚かな国だ』と語っていた」といい、よくもまあ6年間も我慢したものだと、妙なところで感心したりもする(笑)。
 本来、輸出管理の運用見直しの問題は、禁輸になるわけではなし、三年有効の包括許可が使えず個別許可の取得が必要になり、最大90日を要すると言っても、サムスンなどの大手がそれなりに確証を取り揃えれば、実質的な影響はさほど大きくなく済むはずだが、文在寅大統領は、米国だけでなくWTOまで巻き込んで政治問題化し、相変わらず懲りないものだと、またしても不愉快で疎ましく思う自分を止めることは出来ないのであった・・・
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