風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

トヨタ

2010-01-29 01:46:31 | 時事放談
 今朝の日経朝刊一面には、ソニー、ホンダ、東芝、キャノンをはじめとする「製造業、外需で急回復」の文字が躍っていて、俄かに明るい気持ちにさせてくれましたが、目立たない11面まで読み進んだところで、トヨタは「販売計画見直しも」「米でリコール8車種、生産も停止」と報じられ、明るい気持ちは一気に吹き飛んでしまいました。リコール台数230万台、夕刊によると更に109万台追加改修し、合計420万台に及ぶそうです。追加分が、先日来、話題になっていた、アクセル・ペダルがフロア・マットに引っ掛かる恐れがある問題に関連するものであり、今朝の230万台は別の問題で、アクセル・ペダルの根元の可動部分が使用されることで磨耗し、ヒーターからの熱で可動部分に結露が発生して動きにくくなるのだそうです。
 勿論、ミクロに見れば、昨今の世界経済を牽引する新興国経済の成長という追い風を受けて、ソニー、ホンダ、東芝、キャノンの販売が急回復する一方、新興国市場で出遅れているトヨタとで、明暗を分けただけの話だと言ってしまえばそれまでですが、マクロに見れば、トヨタ生産方式で先行した優位性は、当分、揺るぎ無いものと思われていた流石のトヨタも、リーマン・ショックでは57年振り(だったかな?)に赤字に転落した上、相次ぐ品質問題は、生産革新で世界をリードして来た日本の製造業の象徴的存在であるトヨタらしからぬ失態で、トヨタ繁栄の翳りを予感させます。
 トヨタと言えば、愛知県がベースの超ドメスティックな企業でありながら、世界の自動車生産台数世界一を達成するほどのグローバルなブランド力を誇り、愚直に生産革新を続け、企業のDNAとまで言われて、そのまま英語にもなっているKAIZEN(改善)活動によって、他を寄せ付けない高品質を誇る、いわば日本的経営の鑑であり、日本の企業人であれば誰も尊敬しない者はいないほどの超優良企業であるのは、言うまでもないところです。トヨタの不振は、ひとりトヨタの凋落のみならず、あのトヨタまでもが・・・という嘆息とともに、日本的経営そのものの凋落と映ります。
 まさかトヨタにそんなことはあるまいと思いますが、実際、日本人から執念が失われてしまったのではないかと、ある雑誌で、さる韓国人学者から、日本人は憐れみをかっていました。ガンバリズムとか、モーレツとか、負けて悔しい花いちもんめ、などと言われなくなって久しいのではないか。「ゆとり教育」は既に修正されているはずですが、個人的には、あの「ゆとり教育」導入で、日本人はすっかり慢心してしまったのではないか、そしてずっと張り続けてきた緊張の糸がプツリと切れてしまったのではないかと懸念されます。更に、個人的には、あの「ゆとり教育」がフリーターや派遣志向の若者の増加とどこかで繋がっているのではないかとさえ訝しがっているのですが、誰か検証してくれないものでしょうか。教育問題は、何年か経ってから、ボディ・ブローのように日本の基礎体力を蝕むものです。日教組を支持母体にする民主党の教育政策には関心を払わざるを得ませんが、子供手当てくらいしか中身がないのは問題です。こうした懸念が杞憂だと思えるほどのトヨタの復活を心から待ち望んでいます。
コメント
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