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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

欧州紀行(上)ロンドン

2012-07-23 22:19:58 | 永遠の旅人
 先週の欧州出張で、最初にロンドンに入ったので、その印象を述べます。
 先ずは、27日から始まるオリンピックでさぞ湧いているかと思いきや、空港ロビーにこそ上の写真の通り五輪のマークがでかでかと掲げられていましたが(ダウンタウンも装飾は増えているようですが、よく分かりません)、同僚にも、タクシーの運ちゃんにも、excitedでしょ?と聞いても、道路が混むからね・・・なんて、表情が冴えず、余り熱意が感じられませんでした。
 怪訝に思って、ネットをいろいろ覗いてみると、公式報道とは裏腹に、ロンドンっ子の本音が見え隠れします。既に中央分離帯寄りの一車線は五輪関係者向けに交通規制されるという旨の表示が出ていて、さぞ不便でしょうが、それだけではありません。会場近くのアパートの屋上に地対空ミサイルが配備されるというので話題になりましたが(実は2005年7月7日、前日からイギリスで開催されていたサミットを狙って、ロンドン同時爆破テロが起こりましたが、同じ前日に、本命パリの予想を覆しロンドンのオリンピック招致が決まったのでした)、テロ対策にしてもそこまでしなければならないほどの厳戒態勢ぶりや、ただでさえ街が外国人で溢れかえるこの時期に更に妙な盛り上がりを見せること、また、地元でも人気の高いチケットは手に入りにくいだけでなく、チケットの値段も高いこと、更にどうせ開催国枠があっても金メダルはそれほど獲れそうにないこと、そして何よりこの不景気に90億ポンドとも言われる金が注ぎ込まれるのも、どれこもこれも開催地の市民にとっては有り難みが余り感じられないのかも知れません。
 それでもなお祭り好きで田舎者の私なんぞは、大英帝国にとっては日本人が思うほどの名誉とは思わないのか、通算三度目の余裕なのか、ゲームは五輪だけじゃないとの思いがあるのか(実際に、ロンドン五輪組織委員会は、サッカー男女の入場券約50万枚の販売を中止し、回収したことを明らかにしたことが報道されていました)と、僻んでもみたくなります。
 ヒースロー空港での入国審査の厳しさは、オリンピック前の厳戒態勢と言うよりも、そもそも9・11同時多発テロ以来のことのようです。入国時、職業欄には、伝統的に「Employee」と書いてきましたが、今回は審査官に「何の仕事をしているのか」と詳しく聞かれ、わざわざ狭い審査票に記入させられました。帰りにブタペストからロンドン経由(トランジット)で帰国するときにも、何を確認したのか解せませんが、入国審査の隣にある同様の審査官の審査を経ました。
 ロンドン・オリンピックに話を戻すと、日本での熱狂(と言っても一部かも知れません)が、なんだか不思議に思えますが、出張の記憶が薄れるとともに、いざ始まってしまえば、メダルの数を指折り数え、国旗掲揚に胸を躍らせ、国歌斉唱に涙することになるのでしょう。
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アメリカ(下)落穂拾い

2012-04-28 17:10:39 | 永遠の旅人
 先週土曜日には帰国していたのですが、出張中に溜まった仕事を休み前に片付けようと、せわしない中、二日続けてホイホイ飲みにも行ったりして、あっという間に一週間が経ちました。
 金曜日の夕方に出発・・・と言っても、サンフランシスコまでの道のりもあるし、仕事も一段落していたので、同僚の現地人と、サンフランシスコのチャイナタウンで昼飯でも食おうと、9時頃、のんびりサクラメントを出発しました。ところがダウンタウンを過ぎたあたりで、サクラメントとサンフランシスコを結ぶ大動脈のInter-state HighwayのRoute 80が閉鎖されているのにぶつかりました。片側三車線が閉鎖されるということは、ただの事故ではありません。同僚は、化学物質が漏れ出たのではないかと言っていましたが、よくわからないまま、Route 5も使いながら、迂回して再びRoute 80に戻っても、膨れ上がった交通量はなかなか掃けないまま、結局、通常の三倍近い時間がかかる長旅になって、チャイナタウンは吹き飛んでしまいました。残念。
 もっともアメリカを旅すると、だいたいスムーズに行かないことの方が多いものです。ダラスからサンフランシスコに行くフライトも一時間近く遅れたのですが、それはまだかわいいもの。一年前にダラスからニューヨークに向かうフライトはキャンセルされて、急遽、シカゴ経由にルート変更したものでしたが、それもごく当たり前の日常です。朝の山手線は3~5分おきに運行されていますが、日本人ならではの几帳面さで、アメリカ人にはとても人間業とは思えないでしょう。こうしてスムーズに行かない上に、ヌケやモレが多くて穴だらけなのも、アメリカです。行きの成田~ダラス便では、食事前の飲み物を飛ばされて、客室乗務員をわざわざ呼びつけなければなりませんでした。JALとアメリカンの共同運航便とは言えアメリカンに丸投げで、サービスレベルもアメリカン。ホテルでも、タオルが補充されていないことはザラにありました。そんなアメリカに製造業を呼び戻そうというオバマ大統領の気が知れません。
 いくつか総括コメントです。
 ダラス行きフライトが混むのは、南米へのゲートウェイになっているからではないかと言う意見がありました。昔なら、ロスかNY経由だったように思いますが、最近はマイアミやダラス経由で南米に行く人が多いようです。
 ダラスの空港で、さんざん歩き回って、ようやくダルビッシュの背番号が入ったTシャツを見つけました。土産物屋はどんな品揃えになっていて、あるいはどんな土産物が手に入りやすいかを見れば、フットボールのダラス・カウボーイズの方が、ベースボールのテキサス・レンジャーズよりも人気があるであろうことの想像がつきます。フットボールとベースボールは(バスケットボールを加えて)アメリカの三大スポーツですが、一般には、どちらが人気があるかは都市によるようです。ボストン、NY、シカゴ、ロサンゼルス、アトランタあたりは、ベースボールの方が人気があるように思います。特にNY、シカゴ、ロスにはベースボールチームが2チームもあることからも明らかでしょう。ところが、自宅に戻って、蓋を開けたら、サイズを選んでいる内にダルビッシュの背番号が入っていないTシャツを掴んでいたようです。残念。
 本場アメリカでのスタバの躍進振りには目を見張りました。マクドナルド並みと言っても過言ではないほど、たいていのショッピング・モールにスタバを見つけることが出来ます。しかも、軽い昼食で立ち寄ったバーガーキングのセットは6ドル50セントもするのに、スタバはTallサイズ(日本では中位ですが、アメリカでは最小サイズ)で僅かに1.65ドル(空港では1.85ドル)。この10年の変化を見ると、ガソリンは1ガロン1ドル前後から4ドルにまで跳ね上がったのは極端にしても、バーガーキングの値段まで正確に覚えていませんが感覚的に5ドル前後?あたりから6~7ドルといったところと比べると、スタバは1.49→1.65ドルとなかなか健闘しています(インフレ率3%で10年後には2.00ドルのはず・・・ということは、バーガーキングは普通に値上がりしているだけのこと?)。そしてスタバの日本での異常なまでのプレミアム感には、やや抵抗を感じます。
 もうひとつ、ホテルなどでの韓国製品の躍進にも目を見張りました。ホテルに備え付けのテレビに、もはや日本製は見られず、LGとかSamsungが多いし、ニッサン好きの同僚も、レンタカーはKIAでした。もちろん、経費削減の折から、私たちが泊まるホテルの格も、使うレンタカーの格も、ずんずん落ちていますから、そういったセグメントで韓国製を見るのはある意味で当然かも知れません。
 それにしても、ここ三年続けて年一回のペースでアメリカに出張していますが、年々、アメリカ人と一緒に行く肉食料理が胃のもたれや胸焼けをもたらすのは、年のせいかも知れないと、忌々しく思っています。
 上の写真は、背番号の入っていないレンジャーズ・Tシャツ。
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アメリカ(中)サクラメント点描

2012-04-21 00:05:12 | 永遠の旅人
 ダラスからサンフランシスコ経由で帰国することにして、サクラメント・オフィスに立ち寄り、一泊しました。
 サクラメントには、14年前に1年間だけ家族と滞在したことがあります。サンフランシスコからは、山らしい山がない、なだらかな丘が続くフリーウェイをひたすら東に飛ばして約1時間半、彼方に望むネバダ州境の街リノやレイク・タホあたりの山並みや、やがてぽっこり立ち現れるサクラメント・ダウンタウンの高層ビル群の眺め、フリーウェイを降りて走り抜ける住宅街の静かな街並みやショッピング・モールの佇まいなど、当時のまま、余り変わらないように感じて、つい当時のクセでK Martに立ち寄って、Baseball Cardを買ったりなんぞしてしまいました。もともと行政と米軍基地の街で(今も州都がある点では変わりません)、それほどダイナミックに動くようなタイプの街ではない、所謂アメリカのゆったりとした田舎の大都会です。それだけに、この14年の年月を一瞬で飛び越えたような錯覚に陥って、懐かしさも一入でした。
 晩飯は、「鮨正」という、14年前に家族で毎週のように通った日本食レストランに行きました。同行していたプエルトリカンの同僚に聞くと、鮨は余り食べないがテンプラは好きだと。それではと、事前にGoogleで調べると、いくつかのブログで紹介されていたので、オーナーの正木さんは健在かと、久しぶりに会うのを楽しみにしていたのですが、「鮨正」の看板の横に大きく「YUI MARLU」の文字が入あって、訝しく思いながら入ってみると、日本人のおばさん(実はオーナー)が出迎えてくれて、聞くところによるとオーナーは二年半ほど前に変わったとのこと。味は前オーナーの時と同様に良かったし、当時、よく食べた「スパイシー・ツナ・ロール」もあって(辛さが足りないですがゴマ油の味付けは当時と変わらなくて)安心しましたが、当時に戻ったつもりの私は、ちょっぴり冷や水を浴びせられたような、あらためて14年という年月の流れを感じさせられて、一抹の寂しさを覚えました。
 上の写真は、サンフランシスコ空港に向かう車内から撮ったゴールデンゲートブリッジ(は、これでは見えづらいです)。
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アメリカ(上)ダラス点描

2012-04-17 12:50:29 | 永遠の旅人
 日曜日から出張でダラスに来ています。ちょうど一年ぶり。道中、徒然なるままに思いつくことを記します。
 久しぶりの成田空港は、ゴールデンウィークにはまだ日がありますが、随分、賑わっているように見えました。日本人の年配のツアー客もさることながら、やたら中国人が目立つのは、日本人のおじさま、おばさまが概して大人しいのに対し、中国人はところ構わず大声を張り上げるせいでしょうか。それにしても昨年4月や6月は、ここまで賑わっていなかったことからすると、大震災と原発問題は遠のいたことに加え、景気も持ち直しているのかも知れません。あるいは選別消費が進んでいるのか。景気という意味では、ダラス行きフライトは満席でしたし、ダラスの空港もホテルも人が一杯だったことからすると、一年前と比べ、アメリカの景気が持ち直しているのは間違いありません。
 ダラスには、予定通り夕方到着しましたが、朝はStorm(大雨?)でフライト遅延が生じていたようです。今日は、嵐の後の静けさと言うべきでしょうか、抜けるような青空で、空が広い。さえぎる山も高層ビルもないからで、アメリカという国の広さと豊かさを思い知らされます。
 昨晩は、一人だったのと、どうせ翌日から食べ過ぎることになるだろうからと、晩飯は軽めのルームサービスにして、ついでにワインを一本頼みました。Canyon Roadという銘柄のCabernet Sauvignonで、ネットで調べたらせいぜい10ドルなのに、28ドルもチャージされて憤慨したのも束の間、コクがあって思った以上に美味くて、値段のことは水に流すことにしました。当地で10ドルなら、日本では倍はするでしょうから、単純計算で2000円・・・普段、日本で飲んでいる1000円のワインが如何に酷いか、あらためて思い知らされました。
 今宵は現地の人と食事に行きました。Ranchという名の、テキサスらしい牧場の山小屋風レストランで、つい懐かしくなってメキシカンのFajitaをオーダーしたら(昔、食べたのはカリフォルニアでしたが、ここテキサスも、土地柄、メキシカンに近い)、ゆうに二人前はあって、分かっているのに、やはり閉口してしまいます。ここは勇気をふるって食べ残しましたが、控え目なのは私だけで、向かいのお兄ちゃんは18オンス(500g)のステーキをぺろりと平らげ、隣のおばちゃんは、シーザーサラダに、同じFajitaを食べた上に、やはり二人前はあるデザートのケーキを美味しそうに頬張ります。そうかと言えば、斜め前のお姉ちゃんはこの2年で50ポンド(20Kg強)減量に成功したと言って、ニンジンとか青菜ばかりつついています。腰まわりが私の倍あるとまでは言いませんが、甘いケーキやアイスティーやコークをがぶ飲みするような体格が良い人もいれば、むきむきに引き締まった、あるいはスリムな人もいて、この国は二極化していて、ちょっと異様ではあります。それから、ここテキサスではチリ(唐辛子)が名物で、人差し指と中指を合わせた位の大きなチリが添えられていたので、マレーシア生活を思い出しながら、どうせここはアメリカだから辛さも大味だろうと、かぶりつくと(因みにマレーシアではこれほど大きいものはなくて、微塵切りです)、辛さもそのまま大きくなっていて、往生しました。見くびってはいけない。
 昨年の出張では、運良くレンジャーズ戦を観戦出来ましたが、残念ながら今週は遠征中で、ダルビッシュを見るチャンスには恵まれませんでした。テキサスの人だけでなく、ワシントンから来た同僚も、(日系企業に関わっているという意味で当然と言えますが)関心が高いようです。ダルビッシュ本人が言っていたように、日本の野球の底力を見せて名誉挽回して欲しいものです。
 とりとめもなく書いてきました。確実に体重が増えるだろうことを憂いつつ、とりあえず筆を措きます。
 なお、上の写真はホテルから望むダラス・フォートワース空港(別に燃えているわけではありません)。
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ジブリ美術館ふたたび

2011-10-04 00:11:54 | 永遠の旅人
 週末、三鷹の森ジブリ美術館に行って来ました。
 この時期の目玉は、「ねこバスから見た風景展」。部屋が「ねこバス」の車内にしつらえてあって、壁には、文字通り、ねこバスから見た風景が描かれています。常設されている「ねこバス」の巨大ぬいぐるみが小学生以下限定で、いつも恨めし気に素通りしていたので、大人にはちょっぴり嬉しい企画です。
 もう一つ、いつもの楽しみはミニ映画館「土星座」で、この日は「たからさがし」を見ました。一年前は「星をかった日」というファンタジーで、不思議な世界に引き込まれたという印象があったのと比べると、ちょっと子供だましのカワイイばかりの小品でした。
 ある部屋に迷い込むと、「そっとさわってね」という札を首からぶら下げた、大きめのぬいぐるみが椅子に座っていました。その札を人差し指でそっと押して、口から泡を吹くか、腹の中から虫が飛び出すかと、わくわくしていたら、何のことはない、家内も子供も、普通に頭をなでなで。ここは他でもない、ジブリなのでした。
 上の写真は、この日の守り神。青く澄んだ空とススキの穂は、秋の気配です。
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パンダを見る

2011-09-18 23:35:25 | 永遠の旅人
 9月も半ばを過ぎましたが、普段はオフィスに籠っているサラリーマンには気がつかない残暑がまだ厳しいことを思い知らされた一日でした。木陰に入ると、吹き付ける風は秋のそれで、気持ち良いのですが、照り付ける陽射しはまだ夏のそれで、じりじりと暑い。夜になると秋の虫が涼しげな鳴き声を響かせてくれるのに、日中は暑さを煽るようにセミが鳴き声を振り絞ります。
 今日は下の子を連れて上野動物園にパンダを見に行って来ました。
 パンダを初めて見たのは、今から30年前、ポートピア‘81(神戸ポートアイランド博覧会)でのことで、記憶を確かめるためにWikipediaを調べると、確かに「会場では中国から借り受けたジャイアント・パンダ2頭が公開されて人気を集めた」とあります。次に見たのは、12年前、当時はアメリカでパンダを見るならワシントンとここ、と言われたサンディエゴ・ズーでのことでした。フル・マラソンを走った次の日、家族サービスのためにヘロヘロの身体で歩き回ったのを懐かしく思い出します(ちなみに前日、フル・マラソンを走った日の午後は、シーパラダイスをボロボロの身体で歩き回りました)。
 さて、今日は三連休の中日、しかも敬老の日にちなむ老人週間で60歳以上は無料だったせいかどうか、私たちがのんびり到着した11時にはパンダ・ハウスの待ち時間は1時間の長蛇の列で、午後に並んだ方が良いとアナウンスされるほどの盛況ぶりです。そこまでして並ぶ以上、写真はお一人一枚などと叫び続ける案内係の声は誰の耳にも届きません。なかなかカメラ目線にならない気紛れな子供を写真におさめようと悪戦苦闘する若いお母さん、ビデオを回すお父さん、カワイイと大喜びの若い女性たち。そんなゆったりとした流れに乗って、ほんの数分のことでしたが、目前に展開する人間様の列など全く目に入らないかのように、ただ一心不乱に笹にむしゃぶりつくばかりの愛らしい(ある意味でケモノ丸出しの)パンダと久しぶりの対面を実現しました。
 あらためて動物園の地図を見ると、広い園内にいろいろな動物たちがいて充実していることに気が付きました。それにも係らず入園料は小学生以下(都内在住であれば中学生以下)は無料、大人600円と安いのも、人気の秘密なのでしょう。一日たっぷり遊んでも飽きないこと請け合いです(と言いつつ軟弱ものの私たちは三時間半ほどでバテて帰宅しました)。
 上の写真は、最近太り気味を指摘される、今日のシンシン。
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品川アクアスタジアム

2011-08-10 13:07:28 | 永遠の旅人
 ゴミ袋のような薄っぺらな雨合羽を羽織って水を浴びるイルカ・ショーの模様がテレビCMで流れています(涼しげですが、ただの水ではなく海水なので、カメラや携帯に気をつけなければなりません)。かつて駅前留学を謳う英会話スクールがありましたが、ここのキャッチコピーは「エキマエ水族館」。確かにターミナル駅・品川から徒歩3分の距離にある便利な水族館です。昨日、下の子を連れて行って来ました。
 この水族館を選んだのは、実は目立たないのですが、夏休み期間中(7/16~8/31)浴衣またはアロハシャツを着て来館すると水族館入場料が半額になるキャンペーン中であるのを見つけたからでした。インターネット・サイトのイベント&ニュースの「夏休み期間のご案内」にさりげなくオトク情報と記されているだけで、料金案内を見ても出て来なくて、水族館入口にも浴衣で半額のポスターはありましたがアロハについては宣伝されていなくて、それを見た若い女の子たちは「浴衣じゃあねえ・・・」なんて否定的なコメントをするくらい注目度が低く、実際に館内で浴衣姿はおろかアロハシャツ姿も殆ど見かけませんでしたが、私はマレーシアにいた頃に買って箪笥に眠っていたアロハシャツをおろして、娘はペナンのインターに通っていた頃の制服をひっぱり出してきて、入口で控えめに自己主張すると、インフォメーション・センターに回されて、大人(高校生以上)1800円を900円、子供(小・中学生)1000円を500円にしてくれました。ちょっと得した気分です。
 確かにエキマエ水族館は便利ですが、魚は少なくて(サイトの案内によると350種1万点)、ペンギン大陸?にしても、サメやエイやマンタが泳ぐ長さ20mの海中トンネルにしても、開発独裁のマレーシアやタイ・バンコクやシンガポールの水族館に慣れて目が肥えた私たちにはちょっと物足りないものでした。そのため、ここではイルカ・ショーとアシカ・ショーが目玉で、それぞれ二時間おきに、お互いに一時間ずらせてやっているので、30分弱のショーを見た後、会場を移動して30分ほど待てばまたショーが始まる、といった塩梅です。さらに「ふれあいプラン」が子供に人気で、「イルカにタッチ」「イルカ・トレーナー体験」「イルカにごはん」「アシカとふれあおう」「マンタ・フィーディング」といったメニューが別料金で用意されていて、予約ですぐに一杯になるので、入館後まっさきにインフォメーション・センターで予約した方が良さそうです。うちの子は、700円で「イルカにタッチ」してご満悦、その時の写真を売りつけられて1000円追加で払わされて、まんまと商魂に乗せられました。
 館内にレストランはなくて、当然、そんな長居をすることは想定されていないせいでしょう。食べ物もポップコーンかお菓子程度なので、ショーの合い間につまむお菓子を持ち込むと良いでしょう。
 映画一本の値段と考えれば、駅前散策のついでに立ち寄るというのも、たまには良いかも。
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中国落穂拾い(3)リスク

2011-07-02 13:46:54 | 永遠の旅人
 昨日の日経一面に、フォックスコン・ブランドで知られる台湾系EMSの最大手・鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)が、液晶パネル工場をブラジルに建設することを明らかにしたという記事が出ていました。
 その記事によると、米・アップルiPadを部品から一貫生産する模様で、ブラジルへの総投資額は5年で120億ドル(約1兆円)に及ぶと言いますから半端じゃありません。もっともこの会社は、なんと(いつの間にか)90万人を越える中国人従業員を抱える中国最大の輸出企業です。昨年だったか、従業員の自殺が増えたことで注目され、ストライキに見舞われ、従業員の給与レベルを大幅に引き上げることを余儀なくされたことが噂されましたが、その噂はまんざらウソではなかったのかも知れません。あるいは中国政府に対する牽制か(戦略オプションをもつのは強いということでしょうか)。一応、中国偏重の生産体制を見直す、新興国市場開拓を加速する、と言っていますが、中国からの対米輸出は米中経済摩擦の影響が及びかねないリスクを避けるためと、その記事では解説されていましたが、いつまで経ってもカントリー・リスクの影がつきまとうのが、中国という国の姿です。
 十年くらい前、中国については、China plus Oneという言い方でリスク・マネジメントが語られました。中国のカントリー・リスクは今さら言うまでもなく、それこそ突然の停電や水不足といったインフラが安定しない極めて原始的なリスクから、人材(特に技術者)の採用難、人民元切り上げや賃金上昇などのコスト圧迫要因、反日抗議行動、格差拡大による社会的な不安定などがよく知られるところですが、法治国ではなく人治国と言われるような、腐敗・汚職問題や、恣意的な法制度の運用、不透明・不統一な政策運営、更に、伝統的に代金回収もままならない、また技術・ノウハウの流出や模倣の氾濫や品質管理の難しさとなるとモラルの問題にも行きつく(一概に悪いと決めつけるつもりはなく、要は日本や欧米とは異質であるということ)など、私は直接事業に携わったことがないので周囲からの伝聞でしかありませんが、挙げだすとキリがありません。
 例えば、小さい話ですが、先日、北京で泊まったホテルは、空港から中心街に向かう途中にあって、交通だけではなく、日本人駐在員の居住区に近くて行動を共にしやすい(何かあった時にすぐ駆けつけられる)という面でも便利な一角にあるため、日本からの来訪者の定宿になっているようなのですが、その傍に日本大使館が引っ越してくることになり、駐在員の間ではこの定宿指定の変更を検討すべきではないかといった話が出ています。小さい話です。しかし日本大使館が近いということは、反日デモが予想され、治安が心配だというのは、決して杞憂とは言い切れません。
 そこで、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどの東南アジア諸国を、中国に置き換えるのは簡単ではないにしても、投資の分散地とし、中国で何か問題があった時のリスク分散・低減を図るのがChina plus Oneの発想です。そしてあの鴻海が、今回、ブラジルを選んだということは、地理的に近いせいもあって東南アジアが脚光を浴びてきたこれまでの投資環境(ひいては投資の心理)に投じた一石の波紋は小さくないと思うわけです。中国の影響力が直ちに下がるとは思えませんが、それでも10年のスパンで見れば、公式統計に従えば一人っ子政策の影響で人口ひいてはGDPも頭打ちになるのではないかと予想するエコノミストは少なくありません。社会としても少数民族や所得格差の問題を抱えて、国としてのまとまりを維持できるのか、あるいは以前書いたように、国だと思うこと自体が間違いなのか。そもそもリスクがない世の中はなく、それがたまたま中国にまつわるだけなのですが、余りに大きく、余りに異質であるが故に、世界中の苦労が絶えない・・・わけです。
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中国落穂拾い(2)ビール

2011-06-30 02:36:55 | 永遠の旅人
 中国出張ともなれば、中華料理の話をしたいところです。決して美味しくなかったわけではないのですが、東南アジアでさんざん中華料理を食して来た私にとって、正直なところそれほどインパクトがあったわけではありませんでした。そりよりもむしろ、ふと考えさせられてしまったのが、ビールが美味いということ。青島だろうが、ハイネケンだろうが、アサヒ・スーパードライだろうが、ビールは美味い。
 そんなことは中国だろうが日本だろうが当たり前のことですが、日本ではちょっと事情が異なります。私が晩酌をワインに変えたのは、シドニーに暮らしてワインにはまってしまったことが主因ですが、第三のビールが安いけれども美味くないからでもあります。恐らくサラリーマンの中には、デフレの世の中で、第三のビールで我慢している人が多いのではないかと思います。いつから日本人は第三のビールなどという、中途半端な酒に付き合わされるようになったのか。
 Wikipediaによると、麦芽以外の原料で作った第三のビール第一号は、2004年2月に発売されたサッポロビール「ドラフトワン」のようです。キッカケは、2003年の酒税法改正で、ビールよりも税率が低く抑えられているがために売れ行きを伸ばしていた発泡酒が、同改正によって発泡酒の税率が引き上げられ、この税率改正に伴う値上げで消費者のビール及び発泡酒離れを懸念した各ビールメーカーが、より低税率(低価格)になるよう麦芽以外の原料を使用しながら、ビールや発泡酒と同じような味わいのアルコール飲料の研究・開発に着手した、というわけです。
 発泡酒自体も、参入障壁の高いビール製造における、高いビールの税率がきっかけでした。役所がビールの税率を下げるという素直な本質的な対応を避けて、小手先の後追いの税率対応をして来たばかりに、こうしたなんとも無駄な努力と言っては失礼ですが、器用貧乏を生かした余計な酒類の開発を促してきたと言えます。一種のガラパゴスと言えなくもない。一歩、日本の外に踏み出して見ると、なんだか異様でもあります。こうした無駄な努力、余計な開発を、もっと本質的な開発、あるいは別の本質的な開発に振り向ければ、日本の経済は違った展開を遂げていたかも知れないと思うのは、大袈裟でしょうか?
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中国落穂拾い(1)距離感

2011-06-28 23:50:45 | 永遠の旅人
 今回の出張で、認識を新たにしたのが、中国の地理的な近さでした。東京~北京3時間強、北京~上海2時間、上海~東京3時間弱、実際には待ち時間がありますが、乗っている時間だけなら東京~上海(飛行機)は東京~大阪(新幹線)よりも近い。こうして見ると距離感というものは、如何に心理の影響を受けるかが分かります。私にとって、中国は遠い。初めての海外は台湾で、台湾が最も近い海外だという思い込みもありましたが、実際には台湾よりも上海の方が日本に近いのでした。
 近さということでは、まさに、長崎、佐賀、熊本、大分などの九州各地の代表団が6月上旬、中国からの観光客を誘致しようと上海と北京で相次いで会見を開いたそうです。そのとき、九州7県はいずれも福島第1原発から遠く離れている点をアピールしました。例えば大分から直線距離で福島まで974kmあるのに対し、上海までは860kmだそうです。
 こうしてあらためて地図を眺めて見ると、日本列島は中国の喉元に突き刺さった匕首だという軍事戦略的な見方も、分からないではありません。最近の報道で、中国が台湾との間で一朝有事の際には、中国軍は沖縄をはじめとする米軍基地を叩こうとするだろうという米国のレポートが紹介されていましたが、当然のことなのでしょう。日本列島自体がいわば大陸・中国への最前線基地になるわけで、そうした地理的特性と言う意味では、沖縄だけの問題では済まされません。
 一方で、週末のNHKの番組では、ホットスポット(放射線がそこだけ強いという意味ではなく、地球上で2%しかない希少な生物が生息する地域)の六番目に日本列島を挙げていました。数千万年前に海流の流れが変わり、赤道付近から暖流(黒潮)が日本列島にやって来るようになって、豊富な水蒸気が雨となり、地球上では中国にせよ中央アジアにせよ中近東からアフリカに至るにせよ乾燥地帯の緯度に位置しながら、雨が多いことにより、様々な生命を育む豊かな森林資源に恵まれることになったというわけです。海洋資源にも恵まれ、豊かな自然環境の中で穏やかな国民性を育んで来たこの国が、今なお冷戦が残る北東アジアの重要な一角を占めるという、地政学的に極めてややこしい立場にあることの不思議を思わないわけには行きません。
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