風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

中国落穂拾い(2)ビール

2011-06-30 02:36:55 | 永遠の旅人
 中国出張ともなれば、中華料理の話をしたいところです。決して美味しくなかったわけではないのですが、東南アジアでさんざん中華料理を食して来た私にとって、正直なところそれほどインパクトがあったわけではありませんでした。そりよりもむしろ、ふと考えさせられてしまったのが、ビールが美味いということ。青島だろうが、ハイネケンだろうが、アサヒ・スーパードライだろうが、ビールは美味い。
 そんなことは中国だろうが日本だろうが当たり前のことですが、日本ではちょっと事情が異なります。私が晩酌をワインに変えたのは、シドニーに暮らしてワインにはまってしまったことが主因ですが、第三のビールが安いけれども美味くないからでもあります。恐らくサラリーマンの中には、デフレの世の中で、第三のビールで我慢している人が多いのではないかと思います。いつから日本人は第三のビールなどという、中途半端な酒に付き合わされるようになったのか。
 Wikipediaによると、麦芽以外の原料で作った第三のビール第一号は、2004年2月に発売されたサッポロビール「ドラフトワン」のようです。キッカケは、2003年の酒税法改正で、ビールよりも税率が低く抑えられているがために売れ行きを伸ばしていた発泡酒が、同改正によって発泡酒の税率が引き上げられ、この税率改正に伴う値上げで消費者のビール及び発泡酒離れを懸念した各ビールメーカーが、より低税率(低価格)になるよう麦芽以外の原料を使用しながら、ビールや発泡酒と同じような味わいのアルコール飲料の研究・開発に着手した、というわけです。
 発泡酒自体も、参入障壁の高いビール製造における、高いビールの税率がきっかけでした。役所がビールの税率を下げるという素直な本質的な対応を避けて、小手先の後追いの税率対応をして来たばかりに、こうしたなんとも無駄な努力と言っては失礼ですが、器用貧乏を生かした余計な酒類の開発を促してきたと言えます。一種のガラパゴスと言えなくもない。一歩、日本の外に踏み出して見ると、なんだか異様でもあります。こうした無駄な努力、余計な開発を、もっと本質的な開発、あるいは別の本質的な開発に振り向ければ、日本の経済は違った展開を遂げていたかも知れないと思うのは、大袈裟でしょうか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国落穂拾い(1)距離感 | トップ | 中国落穂拾い(3)リスク »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

永遠の旅人」カテゴリの最新記事