昨日の日経一面に、フォックスコン・ブランドで知られる台湾系EMSの最大手・鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)が、液晶パネル工場をブラジルに建設することを明らかにしたという記事が出ていました。
その記事によると、米・アップルiPadを部品から一貫生産する模様で、ブラジルへの総投資額は5年で120億ドル(約1兆円)に及ぶと言いますから半端じゃありません。もっともこの会社は、なんと(いつの間にか)90万人を越える中国人従業員を抱える中国最大の輸出企業です。昨年だったか、従業員の自殺が増えたことで注目され、ストライキに見舞われ、従業員の給与レベルを大幅に引き上げることを余儀なくされたことが噂されましたが、その噂はまんざらウソではなかったのかも知れません。あるいは中国政府に対する牽制か(戦略オプションをもつのは強いということでしょうか)。一応、中国偏重の生産体制を見直す、新興国市場開拓を加速する、と言っていますが、中国からの対米輸出は米中経済摩擦の影響が及びかねないリスクを避けるためと、その記事では解説されていましたが、いつまで経ってもカントリー・リスクの影がつきまとうのが、中国という国の姿です。
十年くらい前、中国については、China plus Oneという言い方でリスク・マネジメントが語られました。中国のカントリー・リスクは今さら言うまでもなく、それこそ突然の停電や水不足といったインフラが安定しない極めて原始的なリスクから、人材(特に技術者)の採用難、人民元切り上げや賃金上昇などのコスト圧迫要因、反日抗議行動、格差拡大による社会的な不安定などがよく知られるところですが、法治国ではなく人治国と言われるような、腐敗・汚職問題や、恣意的な法制度の運用、不透明・不統一な政策運営、更に、伝統的に代金回収もままならない、また技術・ノウハウの流出や模倣の氾濫や品質管理の難しさとなるとモラルの問題にも行きつく(一概に悪いと決めつけるつもりはなく、要は日本や欧米とは異質であるということ)など、私は直接事業に携わったことがないので周囲からの伝聞でしかありませんが、挙げだすとキリがありません。
例えば、小さい話ですが、先日、北京で泊まったホテルは、空港から中心街に向かう途中にあって、交通だけではなく、日本人駐在員の居住区に近くて行動を共にしやすい(何かあった時にすぐ駆けつけられる)という面でも便利な一角にあるため、日本からの来訪者の定宿になっているようなのですが、その傍に日本大使館が引っ越してくることになり、駐在員の間ではこの定宿指定の変更を検討すべきではないかといった話が出ています。小さい話です。しかし日本大使館が近いということは、反日デモが予想され、治安が心配だというのは、決して杞憂とは言い切れません。
そこで、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどの東南アジア諸国を、中国に置き換えるのは簡単ではないにしても、投資の分散地とし、中国で何か問題があった時のリスク分散・低減を図るのがChina plus Oneの発想です。そしてあの鴻海が、今回、ブラジルを選んだということは、地理的に近いせいもあって東南アジアが脚光を浴びてきたこれまでの投資環境(ひいては投資の心理)に投じた一石の波紋は小さくないと思うわけです。中国の影響力が直ちに下がるとは思えませんが、それでも10年のスパンで見れば、公式統計に従えば一人っ子政策の影響で人口ひいてはGDPも頭打ちになるのではないかと予想するエコノミストは少なくありません。社会としても少数民族や所得格差の問題を抱えて、国としてのまとまりを維持できるのか、あるいは以前書いたように、国だと思うこと自体が間違いなのか。そもそもリスクがない世の中はなく、それがたまたま中国にまつわるだけなのですが、余りに大きく、余りに異質であるが故に、世界中の苦労が絶えない・・・わけです。
その記事によると、米・アップルiPadを部品から一貫生産する模様で、ブラジルへの総投資額は5年で120億ドル(約1兆円)に及ぶと言いますから半端じゃありません。もっともこの会社は、なんと(いつの間にか)90万人を越える中国人従業員を抱える中国最大の輸出企業です。昨年だったか、従業員の自殺が増えたことで注目され、ストライキに見舞われ、従業員の給与レベルを大幅に引き上げることを余儀なくされたことが噂されましたが、その噂はまんざらウソではなかったのかも知れません。あるいは中国政府に対する牽制か(戦略オプションをもつのは強いということでしょうか)。一応、中国偏重の生産体制を見直す、新興国市場開拓を加速する、と言っていますが、中国からの対米輸出は米中経済摩擦の影響が及びかねないリスクを避けるためと、その記事では解説されていましたが、いつまで経ってもカントリー・リスクの影がつきまとうのが、中国という国の姿です。
十年くらい前、中国については、China plus Oneという言い方でリスク・マネジメントが語られました。中国のカントリー・リスクは今さら言うまでもなく、それこそ突然の停電や水不足といったインフラが安定しない極めて原始的なリスクから、人材(特に技術者)の採用難、人民元切り上げや賃金上昇などのコスト圧迫要因、反日抗議行動、格差拡大による社会的な不安定などがよく知られるところですが、法治国ではなく人治国と言われるような、腐敗・汚職問題や、恣意的な法制度の運用、不透明・不統一な政策運営、更に、伝統的に代金回収もままならない、また技術・ノウハウの流出や模倣の氾濫や品質管理の難しさとなるとモラルの問題にも行きつく(一概に悪いと決めつけるつもりはなく、要は日本や欧米とは異質であるということ)など、私は直接事業に携わったことがないので周囲からの伝聞でしかありませんが、挙げだすとキリがありません。
例えば、小さい話ですが、先日、北京で泊まったホテルは、空港から中心街に向かう途中にあって、交通だけではなく、日本人駐在員の居住区に近くて行動を共にしやすい(何かあった時にすぐ駆けつけられる)という面でも便利な一角にあるため、日本からの来訪者の定宿になっているようなのですが、その傍に日本大使館が引っ越してくることになり、駐在員の間ではこの定宿指定の変更を検討すべきではないかといった話が出ています。小さい話です。しかし日本大使館が近いということは、反日デモが予想され、治安が心配だというのは、決して杞憂とは言い切れません。
そこで、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどの東南アジア諸国を、中国に置き換えるのは簡単ではないにしても、投資の分散地とし、中国で何か問題があった時のリスク分散・低減を図るのがChina plus Oneの発想です。そしてあの鴻海が、今回、ブラジルを選んだということは、地理的に近いせいもあって東南アジアが脚光を浴びてきたこれまでの投資環境(ひいては投資の心理)に投じた一石の波紋は小さくないと思うわけです。中国の影響力が直ちに下がるとは思えませんが、それでも10年のスパンで見れば、公式統計に従えば一人っ子政策の影響で人口ひいてはGDPも頭打ちになるのではないかと予想するエコノミストは少なくありません。社会としても少数民族や所得格差の問題を抱えて、国としてのまとまりを維持できるのか、あるいは以前書いたように、国だと思うこと自体が間違いなのか。そもそもリスクがない世の中はなく、それがたまたま中国にまつわるだけなのですが、余りに大きく、余りに異質であるが故に、世界中の苦労が絶えない・・・わけです。
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