神社やお寺など歴史的建造物を飾る錺金具。
ごく身近なところでは、高級な仏壇にも見ることができます。
「お神輿も錺金具がいっぱいあるよねー」

そう、お神輿は、まさに錺金具の集大成。本当に京都の神輿は、金ピカに輝き、その豪華さは圧倒的です。ぜひ、京都のお神輿を見に来てください。
さて、錺金具の製作工程は、
まずは、デザインを描いた図面を作ることから…。
「わーいろんなデザインがあるー」と、引き出しに大切に保管された図面を覗くミモロ。

また、部屋の一角には、作業に使ういろいろな道具が展示されていました。

彫金に使う鏨(たがね)をはじめ、カネベラなど。
「フー重たい…」

木槌や金槌、地金を成型するのに使う当て金など、「たくさんの種類の道具を使うんだねー」と、その数の多さにビックリ。
錺金具で一番多く使われる金属は、銅。さまざまな技術が施しやすく、また耐久性も優れた素材です。作るものや大きさなどにより、銅板の厚さは、異なるそう。

複雑で立体的な錺金具は、一枚の平らな銅板から生まれます。



デザインは、正確に銅板へと映され、それに従って輪郭を彫り、それを元に、緻密な彫金や、立体感を出すために裏側から彫ったり、さまざまな仕事がなされた後に、余分な部分から、切り抜かれ、さらにいろいろな仕上げが施されます。

「平らな銅板が、こんなに立体的になるんだー。すごーい。まさに芸術品…」。
では、実際に作業をしているところを見学しましょう。
京都には、優れた錺金具の職人さんが、他の地域に比べ、まだ多いそう。寺社仏閣の多い京都は、その需要もいまだ多く、ミモロが見学に訪れた森本安之助さんの工房では、職人さんたちが忙しそうに作業をしていました。
「あのー何をしてるんですか?」と尋ねます。何かを洗っているみたい…。

古い錺金具の修復作業で、まずは、ブラシで表面の汚れを落とします。
もっと徹底的に汚れや付着物を取り去るには、炭を使いこすってゆきます。

「この作業は、水を使いますから、夏は涼しくていいですが、冬はなかなか辛いですよ」と。洗った部分は、元の輝きが顔を出し、見違えるほどキレイに。
森本さんの工房では、新しい作品を作るだけでなく、有名な寺社仏閣やお城などから、修復や修繕の依頼も多いそう。
そして、2階の作業場では、職人さんたちが、机に向かって作業中。神経を使う細かな作業が続きます。

作業場の棚には、金槌や木槌がずらり。


「微妙に大きさが違ってるー。これだけ細かくサイズが違うというのは、それだけ微妙な加減が必要ってことだよねー」と、ミモロ。
作業をなさっている職人さんのそばで、ジッと見つめるミモロです。

気づくと、ミモロはちゃっかり職人さんの膝にのって、金槌を触らせてもらっていました。

「わーホント、微妙な力加減…むずかしい…」と、金槌に手を添えながら…。
何年も修業して身に付ける技術です。

一般の日本家屋や茶室にも、襖の金具や鴨井部分に錺金具を使うことも。その多くは、価格の面から、大量生産されたものがほとんです。
「手づくりのものは、同じようでも、ひとつひとつ微妙に風合いが異なり、それが趣を作ります」と森本さん。やはり本物のもつパワーというのでしょうか。
一般の建造物では、手づくり錺金具には、それを注文した人の趣向や遊び心が表現され、二つとない空間を作り上げます。
「こんな楽しい錺金具もあるんだよー」と、扇型の金具の前に。

長い歴史の中で育まれた日本の技術の素晴らしさを実感したミモロです。
*今回は、特別に工房などを見学させていただきました。現在、一般公開はされていません。あしからず…

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