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蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

レポーター

2014-03-06 | 日々のこと
わたしは、人間に興味がある。
老若男女すべてに。

行動心理みたいなものに不思議な魅力&魔力を感じる。

で、世の中の人々の行動を見ていると、面白い。
身内であろうが、アカの他人であろうが、ついつい、ネタにしてしまう。

観察時は、黒子に徹してしまう。
登場人物が、観察対象者1名に対して、わたしが二人いる。


昨日も、非常に興味深い、うっとりするほどダンスがお上手な女性がおられた。
彼女の踊りを見て、はじめは驚き、次には自分の下手さに落ち込み、
とっとと逃げて帰りたい、ダンスなどやめたい、と思いつめ、
さらに、ダンス以外の別のジャンル、私生活では、きっとわたしのほうが幸せに違いない、
などと根拠のない、ねじ伏せ理論を自分に押し付け、
そして、やがて、あの人はプロに違いない、プロと同じステージでご一緒できるなんて、ラッキーだ、
などなどと、かんぜんに妄想・空想の世界に入って、こころの動揺を鎮めた。

この間、15分ぐらい。


さらに、更衣室では彼女と二人だけ。
最初の前半は、無言。しーーん。
会場では最終的には、わたしの、心がプラス方面に落ち着いていた(言い聞かせた)・・・が、
こんどは、わたしの好奇心が、むくむく。
わたしを差し置いて、わたしを追い越し、興味ぎんぎんの、もうひとりのレポーターであるわたしが、彼女に聞いた。

「何年、踊っておられるんですか?」
「17年です」

「プロですか? それとも、先生?」
「いいえ。プロになると面白くないので。
友人もプロが多いですが、みんな、そう言ってますね」

「そんなにお上手なら、向かうところ敵なしですね?
ライバルは、ご自分ですか?」
「いいえ、そんなことはないです。毎回、欠点を探し出して、改善しています」

「ほ~。お見受けする限り、欠点などないように見えますが。
例えば、今日の踊りでは、どういった箇所が、欠点なのですか?」
「ここの、あそこが、こうなって、ああなって・・・(うんぬんかんぬん)」

レポーターであるわたしは、ワンポイントレッスンを受ける、即興の生徒に早がわり。
レポーターになったり、生徒になったり。
かたや、その流れをため息をつきつつ、眺める、もうひとりのわたし。

「この人(レポーターさん)、恥ずかしげもなく、よくまあ見ず知らずの人に、べらべら話しかけるなあ・・・」


さらに、レポーターは、レポートしながらも、興味あることだけでなく、
どうでもいい点を細かくチェックする。

例えば、・・・
この人、踊っているときの見かけより、ずいぶん実年齢は高いなあ。
話している顔、表情はじつに人間らしく、踊りの優雅さやキレとはまた別の、生身の人間世界の人なんだなあ。
(あえて良い表現をしています)

考え方やダンスへの取り組みは、たいへん共鳴するものがあったが、
ぱっと見た目から受ける、自分との格段の違いに対する、ビビり、おじけづき、劣等感は払拭された。

逆にいうと、ふつうの人なんだけど、踊ると別格の別人に見えるほど、踊りが上手だということだ。
これは、芸を追及して手に入れた人へのご褒美の「美」であろう。

・・・

わたしは、観察するのも好きだが、自分の感じたことを書くのも好きなのだ。
なにも、「これ読んでください」
「わたしの視点ってユニークでしょう?」
「わたしって、作家目線なんですよ」
などという、押し付けがましい気持ちはない。(書くのも赤面)

その時の二人の自分が、喜んでいるだけである。
そして、二人で感想を述べ合って、楽しかったね、面白かったね、と納得し合っている。
書くことによって、楽しみは二倍に、悲しみは二分の一に。

この、もう一人の自分というのは、客観の自分であり、書く自分である。
昨日のレポーターの自分は・・・?
客観の自分が、抜け出して、もう一人の自分を操った?
もう一人の大人しい自分は、ぽか~んとし、「あんた、ようやるなあ」と、こころでつぶやく。
レポーターやら、何役やら、その時々よって変身する、もうひとりのフレキシブルなわたしが、
あんまり脱線したり、逸脱したりすると、後始末を自分でやらなければいけないので、
「おいおい、そのへんでやめといたら」と、大人しい冷静なわたしが、ブレーキをかける。

二人いるんで、ややこしいが、救われる。
ボケとツッコミの漫才みたいなものだ。

その記録というか、脚本みたいなものが、わたしのブログである。
書くことによって、整理される。すると、こころが落ち着く。

ただ、お読みになられる皆さん方のことを考えていないのが、ちょっと気が引ける。
考えていないというくせに、閲覧数とか、しっかりモチベーションのモトになっている。


「人に自分を知ってほしいの? 考えを発信したいの?」と、とある人に、ぐさりと刺された発言をされた。
う、う、う、~ん・・・自己顕示欲の一種か?
自分では、もっとも自分に無いと思っている、意識的に毛嫌いしている自己顕示欲?
こころを整理するだけなら、ブログ記事を公開する必要はないはず。

痛いところを突かれた。
「違いますよ。書くことが好きなだけです」とは言ってみたものの、
堂々と自分に申しひらきできる、返す言葉が見当たらない。

自分に、自分が理想と思えない自分が存在していたとしても、両方を抱えて、同時進行するしかない。
もやもやを抱えたまんま、今日もブログ更新をしている。

人間は、矛盾する生き物である。
(この決まり文句を書けば、すべてが解決されたと勘違いしている・・・風を装い、
じつは、よくわからないときに常套手段で乱用する、か弱き確信犯)


自分でしか、自分を救えない。
軸足を自分に据えようと、思った次第である。



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