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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

葉山がきれいに見える日

2018年01月15日 | 日記


今朝の山形市の午前7時の気温は-9℃、薄曇り。北西の方角に山形市を見下ろすように、雪の葉山がきれいに見えた。以前、関東から知人が遊びに来たことがあるが、周囲の山を見て圧迫を受けると話していた。だが、住み慣れたものが毎日そこにある山を見ると何故か安心する。海からの風や雪を受けとめ、盆地に穏やかな気候をもたらしてくれるからであろうか。子どものころ、育った処でも、毎朝山を見て育った。小さな存在である自分を、山は見守ってくれているような気がする。石川啄木の歌に

ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな

というのがあるが、啄木の山に接する心も、同じく安堵感であったように思われる。

今年、読みかえしている村上春樹の『ねじまき鳥クロニカル』がいよいよラストに向かっている。平凡な結婚生活を送っていた夫婦に、次々と異変が起こる。かわいがっていた愛猫の失踪を皮切りに、ある日突然、妻のクミコも失踪する。戦争の記憶、井戸の底、仮縫い室、突然現れては姿を消していく登場人物。村上ワールドは読むものの心を揺さぶる。最後は、失踪したクミコ
を救出することで小説は終わると思っているが、初めて読むときよりも数倍に増した面白さがある。

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笹谷峠

2018年01月13日 | 登山


今年の山友会の初登りは笹谷峠である。昨日、午前中は晴天であったが、午後になって雪になった。夜にかけて降り続く気配だったので、どんな気候になるか危ぶんだ。朝、雲ひとつない青空になった。降り積もった新雪、加えて寒気が入って気温-8℃、雪が融ける心配もない。しかも無風、登山の条件でこれ以上ない絶好の条件となった。長年登山を続けているが、こんなに好条件の雪山は初めてのように思う。朝日に輝く新雪は予想を超えた絶景であった。

9時、関沢のバス停で待ち合わせ。峠に行く登山道には、すでに登って行った人たちのトレースができてラッセルの必要もない。木立の合間から峠の先のハマグリ山が真っ白に輝いて見えている。年初の初登りの参加者は6名、内女性が4名。正月のご馳走疲れも見せず、カンジキを履いて快調に雪を踏んで行く。雪の積もって山中は静寂に包まれている。聞こえるのは、絶景に発する仲間たちの感嘆の声のみである。

新雪を踏むさびしさにふりかえり 那須 乙郎



笹谷トンネルが開通するまで、この峠道のヘアピンカーブを越えて人々は宮城県へと向かった。旧国道である。雪が融けるとこの道は通じるが、積雪の季節は閉ざされる。道に大きな扉をつけて閉鎖するが、その脇に駐車場がある。いつもなら、そこへ車を置いて入山するのだが、今年は伐り出されが木材の置き場になっていた。山中に車が停まっていたので聞くと、スギ材の伐り出し作業に来た人たちであった。「空手で帰るのはもったいないな。手伝っていけよ。」と声をかけられた。

ここは新潟から電気を宮城へ運ぶ道にもなっている、大きな送電鉄塔が木々を圧するように立っている。木に付くと同じように電線や鉄塔にも霧氷がつき白く輝いている。珍しい眺めである。その上には青く広がる空。チ、チと小鳥の鳴き声がかすかに聞こえてきた。



峠から登って来た方角を振り返る。ずっと麓に千歳山が小さく見え、そのはるか先、雲のなかには朝日連峰が霞んで見える。絵に描いたような絶景である。今日の雪山歩きは、どの方角を見ても飽きない眺望のなかにある。峠にある山形工高の小屋で昼食とする。今日の担当であるUさんとSさんが、ストーブに火を燃やす係になった。ストーブの上で持参した干し芋とギンナンを焼いてご馳走になった。おいしく、懐かしい味であった。

帰宅して写真を見る。今回はオリンパスペンライトとスマホの両方で撮った。スマホはラインへすぐ送るのに便利だ。オリンパスの動画が撮れていた。そのあまりの美しさに感度する。残念ながらブログにその写真をアップできないが、雪と人物、風景が見事な映像美になっていた。最後に霧氷の輝きをじっくりと見ていただきたい。今年の登り初めは、忘れられない日となった。


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雪晴れ

2018年01月12日 | 日記


今日、寒気の底になって、朝から雲ひとつない雪晴れとなった。空の青さと雪景色のコントラストはこの季節にしか見られない。雪雲に覆われて陰欝な冬が、一時的にせよ解放される。凍てつく道を歩いて自動車教習所まで歩く。今日は自動車免許更新のための、認知機能検査の予約日である。昨年からあまり外へ出ないで家にこもっていたので、久しぶりの戸外である。年とともに記憶力も減退していると思われたが、認知機能はどうやら通常の範囲であることが確認された。

雪晴れて蒼天落つるしづくかな 前田 普羅

帰宅して車に積もった雪を払う。車にも20㎝を越える雪である。こんな日は、屋根に積もった雪を下ろす人も多い。やはり高齢化で、雪国のお年寄りは、家の前の雪掃きも重労働だ。高校生の除雪ボランティアが活躍しているニュースがあった。明日は雪を踏んで今年初めての山登りを予定している。いよいよ新しい年も平常の生活が始動する。

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湯婆子

2018年01月11日 | 日記


永井荷風の『断腸亭日乗』を開き正月の項を拾い読みする。昭和16年元旦(実はこの年の3月に私は生まれている)の項に

「正月一日風なく晴れてあたたかなり。炭もガスも乏しければ湯婆子を抱き寝床の中に一日をおくりぬ。昼は昨夜金兵衛より貰ひたる餅を焼き夕は麺麭と林檎とに飢をしのぐ。(中略)去年の秋ごろより軍人政府の専横一層甚しく世の中遂に一変せし」

と書いている。この年荷風は63歳、4畳半の女中部屋で自炊生活という気儘な生活であった。軍人政府の専横のなかでも、自分ひとり自由に暮らすことを喜びとしている。

「湯婆子」であるが、湯婆を中国読みで「タンポ」、湯たんぽを漢字でこのように表記した。私も夜は湯たんぽを愛用している。電気毛布や旅館の暖房などでは、どうも熱過ぎて安眠できない。ずっと石油ストーブを使っていたが、室内の空気が汚れるので、5年ほど前からエアコンの暖房にしている。低い温度設定でも、十分な暖房は取れる。灯油を外から運びあげる必要もない。よるの湯たんぽは、ほどよい暖かさで安心して眠れる。

昨年、札幌の友人宅に泊めてもらったが、全室に暖房をめぐらしていた。-10℃以下が日常の札幌では、この設備は欠かすことのできないものであろうが、暖房費が月にいくら掛かるか気になるところであった。
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成人の日

2018年01月10日 | 日記


今年は8日が成人の日であった。例年なら不届きな成人が暴れて式を壊してしまうことがニュースになったが、そのようなことはなくなったようだ。かわりに、貸衣装と着付けを予約させ、当日になって逃げてしまう新手の詐欺事件がおきた。オレオレ詐欺以後、何でも詐欺のネタになってしまう嫌な時代である。

「弱冠」という漢語がある。一般に弱冠二十歳などと使われている。中国の『礼記』に「二十を弱と日い、冠す」とある。冠は成人になって被ることを許され、その式典は冠礼と言った。二十は「やわらか」「しなやか」の意で、日本で使われる「わかい」という意味はない。因みに「三十は壮と日い、室在り」とある。この年には、結婚していると言われる。日本では、選挙権が18歳からとなったため、成人を18歳にする準備が行われている。

成人の日に一番似合う言葉を探して見た。どう考えても「希望」である。だが、「希望の党」ができてすっかり汚れた言葉になった。怒れる若者の代名詞となったポール・ニザンのアフォリズムを紹介しておこう。「僕は二十歳だった。それが人の一生でいちばん美しい年齢などとはだれにも言わせまい。一歩足を踏みはずせば、いっさいが若者をだめにしてしまうのだ」

成人祭温室に燦たる花多し 植松  靖

成人の日以降、気温が上がって近辺に積もった雪は大方融けてしまったが、今日は雪。週末にかけて寒波が来るので、また雪景色が復活する。
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