雪雲が薄くなって日が少し見えるが、寒さと降雪は続く。列島がすっぽりと冷凍庫に入ったような寒気に覆われている。この寒気は居座り、あと2、3日は続き、そのあとも断続的に入ってくる気配である。節分まであと旬日を残すのみだが、簡単には春は来ないかも知れない。寒気が去るまで、じっと家に引きこもって読書に日を送るべきか。スマホに脳トレを登録しておいたら、毎日前頭葉を刺激するクラシックという番組が送られてくる。モーツアルト「フィガロの結婚」、マーラー「巨人」などなど、約10分イヤホンをつけてクラシックの名曲に浸る。こんなに楽しいことで脳が活性化されるなら、これほど素晴らしいことはない。
深雪道来し方行方相似たり 中村草田男
青空文庫で石川啄木の『雪中行 小樽より釧路まで』を読む。啄木が初めて経験した、北海度の雪の中を行く、汽車の旅である。札幌の雪景色が、懐かしく書かれている。「降りしきる雪を透かして、思い出多き木立の都を眺めた。外国振りのアカシア街も見えぬ。菩提樹の下に牛遊ぶ「大いなる田舎町」の趣きも見えぬ。降りに降る白昼の雪の中に、我が愛する「詩人の市」は眠っている。」
都心にも積雪のニュースを見て、東京にいる孫に、使い慣れないラインで「雪大丈夫?気をつけてね」と送ってみた。ほどなく返信が来て、「ありがとう、大丈夫だよ。今のところは」とあった。それにしても、普段降らない地方での積雪は、車や電車など交通機関を直撃する。テレビのレポーターが中継している10分ほどの間に、6台もの車の玉突き事故が起きていた。