今朝も晴天の青い空だ。画布に刷毛で白い絵具を刷いたような雲がある。その広がりに吸い込まれそうな錯覚を覚える。空を見る人がいて、虚空に広がる空は、逆さまの万華鏡になる。空の下にあるすべての人々の営みを包みこむ大きな風呂敷だ。石川啄木の和歌に
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
がある。15歳、中学生の啄木の心は、大空に吸われて、ひたすら無心になっていった。森村誠一は『写真俳句のすすめ』で、「空の奥に吸われて束の間、自分自身を見失っているとき、句想が浮かぶ」と言っている。空の無限の広がりが、人を限りなく小さなものにしていく。その時、心に浮かぶ句には、空のような広がり持つ、という。
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