
アジサイはまだ蕾のままと思っていたが、ご近所の庭で薄紫の花を見つけた。この夏、はじめて出会うアジサイの花だ。その脇に、夏椿の白い花が咲いていた。昨夜の雨が、季節をまた少し進めた。昨日、九州や西日本で梅雨入りが宣言され、いよいよ雨に似合うアジサイの季節だ。萩原朔太郎の詩、「こころ」は、その日ごとに変わる気分をアジサイに喩えた。
こころをばなににたとえへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひでばかりはせんなくて。
こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめど
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。
詩人のこころはアジサイから噴水の音へ。刻々と時間に従って移ろって行く。そういえば、サクランボの実が熟し、遠くの親戚に贈る季節だ。思いがけないアクシデントで、娘や姪たちがそれぞれその地域の特産を、見舞いがてら贈ってくれている。季節の挨拶にサクランボを贈るのは、ここならでは行事だ。
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