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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

風蝶草

2021年08月30日 | 
この花を見たのは去年の夏だ。そのときはじめて見たので、ネットで検索した記憶がある。だが、その名を思い出そうとしても、しっかりと忘れている。あらためて見てみると、西洋フウチョウソウとある。漢字で書けば風蝶草。蝶が風に舞うよう花の姿からこんな名をつけたらしい。もとの名はクレオメ。熱帯アメリカの原産とある。冬は越せないので、種を春に蒔く。庭にこの花を育てている方は、この花がお気に入りなのであろう。珍しい花である。夏の終りを告げる花でもある。

晩夏なり古びし風の吹きをれり 相生垣瓜人

晩夏という言葉のひびきに懐かしい感慨がわく。残暑が厳しいのに、朝夕の風がつめたいと、そこはかとなく秋を感じ、心なし寂しい気がする。耐えがたいほどの暑さが、少しづつなくなっていく淋しさがあるのだ。これは人類が地球上に生れてから、生き延びるために寒さと闘ってきた長い歴史の記憶が身体のなかに埋めこまれているからであろう。人々は長い冬に備えて食糧を備蓄し、山の枯れ枝を集めた。

 幻の花 石垣りん

庭に
今年の菊が咲いた

子供のとき、
季節は目の前に
ひとつしか展開しなかった

今は見える
去年の菊
おととしの菊
十年前の菊。

遠くから
まぼろしの花たちがあらわれ
今年の花を
連れ去ろうとしているのが見える。
ああこの菊も

そうして別れる
私もまた何かの手にひかれて (詩集『表札など』)
コメント (2)
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