常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

阿修羅

2019年08月14日 | 日記

人間が死んで生まれ変わることを輪廻転生という。生まれ変わるといっても、生前の業によって様々な形になって還ってくる。還ってくる世界を六道という。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天の六つである。その一つが阿修羅である。仏像の阿修羅像は、その表情に憤怒がかたどられている。阿修羅の還る世界は憤怒に満ちた争いの世界である。

阿修羅と帝釈天に争いの逸話がある。もともとこの2神は、天上の神であった。阿修羅には美しい娘がいた。ゆくゆくは、娘を帝釈天に嫁がせてもよいと考えていた。それとも知らず、帝釈天はその娘の美しさに心を奪われ、誘拐し強姦してしまった。これに怒った阿修羅は、帝釈天に戦いを挑み、娘を取り返そうとした。好意は無視され、誇りを傷つけられ、大切な娘を奪われたことに対する、収めようのない怒りだ。しかし、天上の四天王を配下に持つ帝釈天は、戦いを有利に進め、戦うたびに阿修羅を追い返した。

阿修羅は不利で絶望的な戦いを止めようとしない。そのため天上を追われ、六道の世界の住民となった。そこは苦悩の世界であり、怒りの炎に焼かれる世界である。このような戦いを、人間世界は、いかに長きにわたって続けてきたことか。お盆という、先祖の霊と相まみえる季節に、阿修羅の存在をもう一度見つめ直してみたい。

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