常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

蜜柑

2018年12月14日 | 日記

蜜柑のおいしい季節になった。今年の蜜柑

は外れがない、会話でよく耳にする。なる

ど、食べてみて甘みが強いように感じる。

幸い静岡に兄弟が住んでいるので、この季

節には、もぎたての新鮮な蜜柑を送っても

らえる。幸せななことだ。高校まで北海道

で暮らしていたので、蜜柑は子どものころ

の記憶に残っている。父親の姉が静岡、妹

が石川にいたので、正月には、蜜柑と柿が

送られてきた。どちらも北海道にはできな

いものなので貴重な食べ物であった。蜜柑

の木箱に温州蜜柑と焼き印が押してあった。

今思えば、それほど大きな箱ではなく、空

き箱は本棚に利用したりしていた。ひと箱

に何個入っていたか、多人数の家族がいた

ので、わけあえば数個ずつであったであろ

う。それでも今記憶に残っているのは、そ

れだけうれしかったのだと思う。

蜜柑あまし冬来ぬといふおもひ濃く

相生垣瓜人

蜜柑は日常的なものであるためか、小説の

小道具として登場する。尾崎士郎の短編

『蜜柑の皮』は大逆事件を題材にしている。

死刑を宣告された老政客金近陽介は、最後

のごちそうとして出された蜜柑の新しいも

のには手を触れず、だれかが食べ残した蜜

柑の袋をとってすすった。蜜柑の皮は自分

の信念と刑死という現実に揺れ動いた人間

の弱さのシンボルでもある。

コメント (2)
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