みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1045「しずく124~手を出すな」

2021-03-16 17:43:17 | ブログ連載~しずく

 しばらくの間(あいだ)、二人は向(む)き合っていた。相手(あいて)の出方(でかた)を見ていたのだ。最初(さいしょ)に動いたのはつくねだった。つくねは薄笑(うすわら)いを浮(う)かべると、一瞬(いっしゅん)、姿(すがた)を消(け)した。それと同時(どうじ)に、しずくの身体(からだ)が吹(ふ)き飛んで壁(かべ)に激突(げきとつ)した。つくねは姿を現(あらわ)すと言った。
「どお、あたしの攻撃(こうげき)をかわすことなんかできないでしょ」
 屋上(おくじょう)へ出る扉(とびら)から水木涼(みずきりょう)が飛び出した。そして、しずくをかばうようにして叫(さけ)んだ。
「止めろよ! お前、私たちの仲間(なかま)だろ。何でこんなことするんだ?」
「仲間? なに言ってるの。あたしは――」
 しずくが声をあげた。「涼、いいのよ」しずくは壁に寄(よ)りかかるようにして立ち上がると、
「あなたは手を出さないで。初音(はつね)も下がってて。ここは私に任(まか)せてよ。何もしないで…」
 いつの間にか、川相(かわい)初音はつくねの後ろに立っていた。つくねは嘲笑(あざわら)うように、
「あたしはいいわよ。みんなまとめて片(かた)づけてあげても」
 しずくは、つくねに近づきながら言った。「あなたの相手は、私だけよ。そうでしょ?」
 涼と初音は二人から離(はな)れて、成(な)り行(ゆ)きを見守(みまも)ることにした。つくねは、また姿を消すと、しずくの目の前に現れた。そして、しずくを殴(なぐ)りつけ、蹴(け)り飛ばした。
 初音が思わす叫んだ。「何でよけないのよ! あなたなら、かわせるでしょ」
 つくねは倒(たお)れているしずくの胸元(むなもと)をつかみあげて言った。「本気(ほんき)出さないと、死(し)ぬわよ」
<つぶやき>しずくはどうして反撃(はんげき)をしないのか? つくねが強(つよ)すぎるのか、それとも…。
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