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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0518「又三郎?」

2019-04-15 18:57:58 | ブログ短編

 かずちゃんは、お家(うち)に帰ろうと急(いそ)いでいた。心地(ここち)いい風がかずちゃんの頬(ほお)をなで、手にした風車(かざぐるま)をカタカタと鳴(な)らした。
 突然(とつぜん)、木の陰(かげ)から大吉(だいきち)が飛び出した。大吉はいつも威張(いば)っていて、周(まわ)りのみんなから嫌(きら)われていた。だから、大吉もますます横柄(おうへい)になりいじめっ子になってしまった。
「おい、その風車、俺(おれ)によこよせ。俺がもっと勢(いきお)いよく回してやるよ」
 大吉は今にも手を出す勢(いきお)いで言った。かずちゃんは後ろ手に風車を隠(かく)すと、
「イヤよ。あんたに渡(わた)したら壊(こわ)れちゃうわ。これは、ゲンちゃんからもらった…」
「うるせい、俺に貸(か)せよ。言うこときかないと、こうだぞ!」
 大吉は拳(こぶし)を振(ふ)り上げた。かずちゃんは恐(こわ)くて目をつむる。
 その時、つむじ風が巻(ま)き上がった。かずちゃんのスカートをひるがえし、大吉がかぶっていた野球帽(やきゅうぼう)を吹(ふ)き飛ばした。帽子(ぼうし)は木(こ)の葉のようにフワフワと舞(ま)い上がり、高い木の梢(こずえ)に引っかかって止まった。大吉はいまいましそうに帽子を見上げる。
 今度は北風がぴゅーっと吹(ふ)いた。北風は梢の帽子を河原(かわら)のほうへ吹き飛ばした。大吉は慌(あわ)てて帽子の後を追(お)いかけた。かずちゃんの風車が、まるで笑っているようにケラケラケラケラと軽快(けいかい)に回り出した。
<つぶやき>又三郎(またさぶろう)はいつも子供たちのそばにいて、一緒(いっしょ)に遊んだり、かけっこしたり…。
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