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海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ガンジス河は、余りに汚いので祭儀的水浴ができない」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年02月13日 | 環境問題
アラハバード発:ガンジス河での水浴びは、罪を洗い落とし、死と再誕生との輪廻を断ち切るために、ずべてのヒンヅー教徒の生涯の義務と考えられている。毎日、8万人の人間が聖なる河に巡礼している。だが、その間、ガンジス河には非常に多くの汚物と糞尿が漂っているので、インド人の行者は、インドの最大の宗教的祭りをボイコットするように呼びかけた。12年ごとに行われれるマハ・クンブ・メラの祭りだ。マハ・クンブ・メラは、見た目には華々しい輪舞である。祈り、歌う人間、灯明のきらめき、花輪で飾られた犠牲台、香の匂いの靄などが、この河を人間が神々と出会う超越的な場所に変えるのだ。
だが、線香は、ガンジス河から立ち上る悪臭を誤魔化すのに役立っている。サフラン色の衣をまとった行者にとってさえ、汚染は酷くなりすぎた。「水は非常に汚く誰もそこに身を浸すことができない」とアラハバードでヒンヅー教の僧院を指導しているシャンカラチャリア・ヴァスデヴァナンダ・サラスヴァティは言う。
 ガンジス河のほとりで祈る者には、大量のゴミの塊が漂い流れて行くのが見える。ガンジス河では、死者も荼毘に付されるので、焼かれた死体の部分が漂っていることも稀ではない。だが、それは大昔から行われたことだ。比較的新しい事実は、何百万トンもの産業廃棄物と下水がガンジス河に捨てられた結果、聖なる河は、毒物の下水道に変わった。ガンジス川流域に住む3億5千万人は、赤痢菌から肝炎に至る疾病に曝されている。推定によると、ガンジス河畔では、毎分、一人の人間が、水から取り入れたバクテリアのせいで死んでいる。
2月16日に終わるアラハバードのマハ・クンブ・メラ祭りが、ざらなる負担をかけている。この祭りは、世界でもっとも多の人間が集まる。約7千万人の信者は、ガンジス川とヤムナ河と第三の神話的な河の合流点に巡礼する。伝承によるとこの第三の河に、神々が
不死の霊液を一滴垂らしたのだ。
この場所で水に身を浸すことによって、人々は生と死との苦痛に満ちた輪廻から解放されるのだ。だが、実際には、そうすると早死にすることになる。検査の結果、ここの水には世界保健機構の許容値の4,000倍のバクテリアが含まれていることが分かった。行者達は警鐘を鳴らした。聖なる都市ヴァラナシから来た行者のハリ・チャイタニヤ・ブラマチャリは、政府が何もしないのであれば、溺死するぞと脅した。「巡礼達は、罪を洗い落とすためにここに来るが、ここで水に浸かれば、皮膚病にかかる恐れがある。」
ダムを開くことで、新鮮な水が導き入れられ、一時的に水質は改善された。「ガンジス河を浄化するという政府の数百万ドルもの計画は、失敗した」と環境保護運動家のM.C.メータは言う。2千年前からの古都ヴァラナシも僅かに「悪臭の穴」に過ぎず、ガンジスは、糞尿からできた汚泥に過ぎない。
ガンジス河にはいくつかの名前がある。大抵はそれは「ガンガ・マ」(母なるガンジス)と呼ばれる。「どうしてこんなことが人間にできるのか?」ともう一人の行者であるチャンドラ・マダシュは問う。「彼女が汚くても、私は私の母が好きだ。」
[訳者の感想]時々、テレビにガンジス河が映ると、どう見ても汚い河なので、よくあんなところで体を洗ったりしているなと感心していました。事態はかなり、深刻なようです。
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