海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ハルビンの非常事態」と題する11月24日づけの『ヴェルト』紙の記事。

2005年11月24日 | 環境問題
北京発:中国の近代的な都市で文字通り水道栓が閉じられた。パニックに襲われたハルビンの市民は、スーパーの飲料水の棚をカラッポにした。学校は閉鎖され、市内では古い井戸が再び掘られている。
地方の党幹部やハルビン市長は、住民に落ち着きを保つように呼びかけた。住民は、住宅内の風呂桶、バケツ、あらゆる容器に水を蓄えるべきであると述べた。東北地方(かっての満州)の地方都市ハルビンは、水曜日の夜中の12時きっかりに300万市民の水道栓を閉じた。市役所は、水道水が化学薬品で汚染されたと恐れている。少なくとも四日間、ハルビンは、松花江の水を取水することができない。ハルビンはこれまで水道水の70%を松花江から取水していた。今週末には、危険は過ぎるだろうと黒竜江省の省長であるジャン・ズオジは述べた。「そうしたら私は一番に水道の水を飲むだろう。」
中国の最も最近の環境汚染は、10日前に、まるで大災害映画の脚本通りに始まった。ハルビンの北350キロの松花江上流で11月13日に国有のジリン石油化学コンビナートのための設備が爆発した。松花江の岸から100メートルしかはなれていない工場は、昨年完成したばかりであったが、一年間に7万トンのニトロ・ベンゾールをアニリンや化学薬品の製造のために生産していた。使用を誤ったために発火し、連鎖反応を起こした。6回に及ぶ爆発で、工場は破壊され、5人の労働者が死に、70人が負傷した。確認されない量の有毒な化学化合物が松花江に流れ込んだ。80キロメートルにわたって川はベンゾールで汚染されたと黒竜江省の環境局は報告している。この有毒物質はガンを発生させる可能性がある。
中国におけるこれまでで最大規模の化学工場事故は、公表された。松花江下流の住民を脅かす危険については何も言われなかった。一週間経ってようやく、ハルビン市で始まった危機的事態に対する準備が住民に不安を引き起こした。図々しい嘘のせいで、省政府は月曜日になって飲料水の買いだめを引き起こした。ハルビン市役所は、修理のために水道網を火曜日以後徹底的に調査し、そのために四日間水道水の供給を停止すると告知した。火曜日なってようやく本当の危険が住民に告げられた。
ハルビンは、どんなリスクも冒さない。市の境界線の18キロ手前まで水道水の検査が行われた。木曜日の夜中の12時頃に有毒な水がハルビンにやってくるに違いない。その二日後には、有毒な川水はハルビンを通り過ぎるだろうと科学者達は計算した。予防措置として、15の病院が患者を受け入れる準備をしている。すべての小学校と中学校は11月30日まで閉鎖される。
その間、トラックの列が、ハルビン市に飲み水を運んでいる。蓄えられた水は、4日分ある。地下水は汚染されていないので、918の井戸が再び使用されている。7千軒の風呂屋や美容院、洗車設備は閉鎖された。外国人専用のホテルでは、シャワーの時間が制限されている。ハルビンの非常事態は、中国における環境災害の増大に目を向けさせる。これまで、たいていは、農村や小都市が被害を被ったが、都市全体が脅かされたことは一度もなかった。
[訳者の感想]日本のテレビでこの事件は報道されたのでしょうか。この記事を翻訳して三時間ほど経ったら、Yahoo Newsのトップにこの事件がでかでかと掲載されました。
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