海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「傲慢な戦争指導」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2006年08月23日 | 国際政治
書類の上では、イスラエル陸軍は「第二次レバノン戦争」に負けなかった。だが、高望みの期待は裏切られた。ヒズボラの同盟者であるイランが間もなく原爆を所有し、地域全体を炎に包ませるかもしれないから、イスラエルの多くの人たちは、速やかな戦略と指導の転換を要求している。劇的にすることに関心のあるイスラエルの報道機関が、目下の信頼の危機をどの程度煽っているかは明らかではない。だが、パレスチナ人に対する彼らのしばしば意気阻喪させる投入を理由とする兵士による批判において将軍達と大臣達は連携しているので、今や批判はあらゆる方面から来ている。
いろいろな新聞の公開状では、予備役旅団のチームや将校は、司令官の指揮の拙さを批判している。「彼らの不決断は、実行されなかった作戦計画や取り消された戦闘命令において、受動性であることが明らかになった。戦争目標は一度も明確に規定されなかったし、戦闘行為の間に変更された。」「槍の穂先」旅団の手紙は、指導部に対する挑戦である。
彼らは「兵士としてイスラエル市民の防衛という正しい事柄のために命を危険に曝す覚悟をもって動員命令に従った。」
今や次のような気の滅入る感情が起こった。つまり、「われわれの上の階級には、不十分な準備と不真面目さと見通しの欠如と合理的決断への無能力が支配的である。このことは次のような疑問に導く。われれは何のために動員されたのかという疑問だ。」書簡は、「国家の委員会による徹底的で実質的な調査を要求することで結ばれている。「そのような調査でもって、戦闘者であるわれわれと高位の者達の間の信頼の危機は取り除かれる。」
元モサドの長官であったシャヴィットは、この問題を違った見方をしている。『マーリブ』紙に彼は次のように書いている。「イラン危機のせいで、イスラエルの国家はこの贅沢をするわけにはいかない。われわれはこの沼地が乾くまで、毎年沼地の中に立ち止まっていてはならない。」国家の委員会の調査結果が公表されるときには、本来何が問題だったか、誰も思い出さないだろう。自分はそのことを1973年の「ヨムキップル戦争」の後で出された「アグラナート委員会」についての経験から知っている。イスラエルの平和運動の父であるユーリー・アヴネリも『マーリヴ』紙で同じような意見を述べた。1982年の「第一次レバノン戦争」の後で出された「カハン委員会」も、それに対してなされた期待を満足しなかった。(中略)
ハルツ総参謀長は、ギヴァト・オルガでの兵士との会合で非難を耳にしなければならなかった。「総参謀長、私の兵士は、高位の司令官をもはや信じることができません。」最近の戦闘では、武器が不足しており、食糧や水の供給も不足していた。「水のない兵隊は、負傷した兵隊を助けるために、脱水状態で何キロも後退しなければならなかった」と将校の一人は言った。
二人の予備役兵は、オルメルト首相が辞任するまで、首相府の前に座り込むつもりである。オルメルト首相とペレス国防相は、国民の信頼を失った。「政府を置き換える以外の選択はない」と『イデフィオト・アハロノート』紙は書いている。(以下省略)
[訳者の感想]イスラエル国内では、今度の「レバノン戦争」がイスラエル人が期待したような結果をもたらさなかったことに対する批判がわき起こって、軍も政府も窮地に立たされているように見えます。
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