八戸の郷土料理が何なのか、なかなか思い出てこない。平成19年、農水省主催で農山漁村の郷土料理百選を選んだ。青森県ではウニとアワビを具にした吸物の「いちご煮」と料理専用の南部煎餅を用い、醤油味で煮立てた汁物の「せんべい汁」が選ばれた。二つとも青森県でも八戸市とその周辺の郷土料理だという。新幹線が八戸まで開通した時に八戸で、いちご煮もせんべい汁も食した。ウニもアワビもそのまま別々に食べたほうが美味しいし、せんべい汁もモチャモチャしていてあまり好みではなかった。今回はウニとイカを目指して八戸に行った。現地に行って、殻付ウニや活イカを提供する店がほとんどないのが意外だった。一番に行ったのが前述の種差海岸の波光食堂、それからネットで「イカの街八戸」にふさわしい活イカとイカ料理がメインだという店を見つけた。みろく横丁の入口にある「ととや烏賊煎」という店。17時、開店に合わせて店の前に着く。アレという感じ、店が真っ暗。入り口に臨時休業の貼紙が、目の前も真っ暗になる。みろく横丁は平成14年、新幹線八戸駅開通に合わせて誕生、三日町と六日町をつなげ、三と六から「みろく」とつけたという。貝の店「もっこり」に立ち寄る。
ウニとツブ貝の刺身、ホタテを焼いてもらう。
テレビで放送していた、炭火の串焼きの店「しおさい」に寄った。
イカの刺身がないのは残念だったが、イカ焼き、銀ムツ、カラスガレイなどを焼いてもらう。
カラスガレイは色が黒いので烏鰈と呼んでいるという。初めて食べた。小田原で「オシツケ」と呼ばれるギンダラ科のアブラボウズみたいに脂分が多く、食べ過ぎるとお腹を壊しそう。カウンターの向こう側の常連さんらしき人が、出張のたびにこの店に寄るという。この横丁の人気店みたいで直ぐ満員になったので退散する。
今回で八戸は3回目、昼に前に入った街の中心にある「さんりく」に行く。
ここの生ウニ丼は下にイカ刺しを敷き、その上に生ウニを少し載せ金額を抑えていた。苦労のあとがにじみ出ている。特別刺身定食を取る。どこが特別なのかサッパリ分からなかった。
宿の窓から真下に見えるのが「ばんや」という店。八戸では有名な居酒屋らしい。宿から歩いて数秒で到着。アルバイトの貼紙が! 大丈夫かなと思いながら店に入った。客が誰もいなかったせいか店内が薄暗いのでビックリする。
カウンターの大皿料理とその日の料理が数品、手書きで貼ってあったが、値段が書いてないのが不気味だった。2人連れの外国人が入ってきた。民芸調の店内は珍しそうだったが、メニューに値段が書いてないのでビビッていた。八戸のウニは、甘みは強くないが上品な味で、この店の生ウニは取れた場所が異なるのか2種類のウニが混ざっていた。ウニのお代りをしてしまった。ここも早々に切り上げて、つまみの多そうな「南部もぐり」という店に行った。2階にある店が暗い。嫌な予感がする。案の定、臨時休業だった。どっと疲れが出る。傍のみろく横丁の入口にある「あじの麺匠」で八戸ラーメンに変更。
飲んだ後のラーメンは美味しかったが、特に印象に残る味ではなかった。この横丁の脇で六日町の子供たちがお祭りのお囃子の練習をしていた。大きな子が小さな子を教えているのは微笑ましい。
自宅に戻る最終日に陸奥湊駅近くの「みなと食堂」に行った。生ウニ丼とイカ刺しを食べた。
値段も一番高かったが、ここのウニが一番、美味しかった。