「お手々のシワとシワを合わせて幸せ~」と言うテレビCMがある。
それを見ると「お手々のふしとふしを合わせて不幸せ~」って、
バカなことを言っていた。
フッと「楓のような手を合せ」という小書を思い出した。
楓のやうな手を合せ
血煙はさわと紅葉に志ぶき
秋陽西に傾きて晩鴉の声悲し
あわれ勝方山中一場の惨劇
誰か袂を絞らさらん
柴五三郎著「辰のまぼろし」のなか、会津藩士町野一家の自刃の
様子を記述した「勝方山町野一家の自刃」に納められている。
頭書に「楓云々血煙云々記者の形容に依て小書す」とある。
戊辰、若松城下の戦いで、勝方村に逃れた町野主水の家族が、
家僕の誤った戦況報告により、母きよ子、妻やよ子、姉ふさ子、
長女なを子(七歳)、長男源太郎(三歳)の五人が自刃した。
姉と母とは之を聞き自ら死後きたるを慨し、直に自刃す。
余の妻も直に幼児源太郎三才を刺殺し而て自刃す。
時に長女なを子七才はこの有様を見て幼心にも一度御城に入り、
祖父様の顔を拝し然る後母様の後を追わんという。依て、
祖父は討死成されし故、面会も叶わしと云しも聞かず、
然らば入城し得るよう東方に向て城を拝すへしと云えるに、
女は跪きて殊勝にも遥に東方と伏拝みける。(金子)豊之助、
涙ながらに心を鬼になし、首をば打落す。
それを見ると「お手々のふしとふしを合わせて不幸せ~」って、
バカなことを言っていた。
フッと「楓のような手を合せ」という小書を思い出した。
楓のやうな手を合せ
血煙はさわと紅葉に志ぶき
秋陽西に傾きて晩鴉の声悲し
あわれ勝方山中一場の惨劇
誰か袂を絞らさらん
柴五三郎著「辰のまぼろし」のなか、会津藩士町野一家の自刃の
様子を記述した「勝方山町野一家の自刃」に納められている。
頭書に「楓云々血煙云々記者の形容に依て小書す」とある。
戊辰、若松城下の戦いで、勝方村に逃れた町野主水の家族が、
家僕の誤った戦況報告により、母きよ子、妻やよ子、姉ふさ子、
長女なを子(七歳)、長男源太郎(三歳)の五人が自刃した。
姉と母とは之を聞き自ら死後きたるを慨し、直に自刃す。
余の妻も直に幼児源太郎三才を刺殺し而て自刃す。
時に長女なを子七才はこの有様を見て幼心にも一度御城に入り、
祖父様の顔を拝し然る後母様の後を追わんという。依て、
祖父は討死成されし故、面会も叶わしと云しも聞かず、
然らば入城し得るよう東方に向て城を拝すへしと云えるに、
女は跪きて殊勝にも遥に東方と伏拝みける。(金子)豊之助、
涙ながらに心を鬼になし、首をば打落す。