白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(83) 流行歌になった歌舞伎(1)

2016-06-04 13:52:44 | うた物語
流行歌になった歌舞伎(1)

与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
「お富さん」 山崎正 作詞 春日八郎 歌

粋な黒塀 見越しの松に
仇な姿の 洗い髪
死んだはずだよ お富さん 
生きていたとは お釈迦さまでも
知らぬ仏の お富さん
エ―サオ― 源治店

過ぎた昔を 恨むじゃないが
風も滲みるよ 傷の跡
久しぶりだな お富さん
今じゃ異名(よびな)も 切られの与三よ
これで一分じゃ お富さん
エ―サオー すまされめえ

掛けちゃいけない 他人の花に
情けかけたが 身の定め
愚痴はよそうぜ お富さん
せめて今夜は さしつさされつ
飲んで明かそ お富さん
エーサオー 茶碗酒

逢えば懐かし 語るも夢さ
誰が弾くやら 明烏
ついてくる気か お富さん
命短く 渡る浮世は
雨もつらいぜ お富さん
エーサオ― 地獄雨


於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみきり)
「野崎参り」  今中楓渓 作詞 東海林太郎 歌

野崎参りは 屋形船でまいろ
どこを向いても 菜の花ざかり
粋な日傘にゃ 蝶々も止まる
呼んでみようか 土手の人

野崎参りは 屋形船でまいろ
お染久松 切ない恋に
残る紅梅 久作屋敷
今もぬらすか 春の雨

野崎参りは 屋形船でまいろ
音にきこえた 観音ござる
お願かけよか うたりょか滝に
滝は白絹 法(のり)の水


三人吉三廓初買(さんにんきちざくるわのはつがい)
「お嬢吉三」  佐伯孝夫 作詞  橋幸夫 歌

月は朧に 白魚舟の
篝も霞む 春の空
絵から抜け出て 大川端や
とんだ仕掛けの お嬢さん
一皮剥けば 白浪の
お嬢吉三た 俺のこと

赤い蹴出しを 捌いた足で
娘をポンと 川中へ
思いがけなく 手にいる百両
虫も殺さぬ 顔してさ
今夜はほんに 節分か
堕ちた娘は 厄落とし

こいつぁ春から 縁起がいいや
行こうとすれば もし姐さん
ちょっと待ってㇳ武士が止める
乙に絡んで 貸せという
セリフを聞けば 同業の
お坊吉三と きやがった

鬼は外だぜ 濡れてで粟の
百両頼む 貸せなどと
しゃらくせえから つい立ち回り
派手なところへ 止め男
小意気な捌き 手を引けば
和尚吉三たぁ 俺の事


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