白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(84) 流行歌になった歌舞伎(2)

2016-06-04 13:58:12 | うた物語
流行歌になった歌舞伎(2)

青砥稿花虹彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)
「弁天小僧」 佐伯孝夫 作詞 三浦光一 歌

牡丹のような お嬢さん
しっぽ出すぜと 浜松屋
二の腕かけた 彫り物の
桜に絡む 緋縮緬
知らざア言って聞かせやしょう
おっとオイラは弁天小僧菊之助

以前を言えば 江ノ島で
年季勤めの お稚児さん
くすねる銭も だんだんに
とうとう島を 追われ鳥
噂に高い 白波の
おっとオイラは 五人男の切れ端さ

素肌に燃える 長襦袢
縞の羽織を 南郷に
着せらせられて 帰りしな
ニッコリ被る 豆絞り
鎌倉無宿 島育ち
おっとどっこい 女にしたい 菊之助


恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
「恋の大和路」 たかたかし 作詞 中村美津子 歌

生きてあなたと 添えるなら
流す涙も どれほど嬉しかろ
恋ゆえ決めた 人の世の
冷たい風に さらされて
二人追われて
恋の大和路 雪しぐれ

寒くないかと 目をのぞき
肩を抱き寄せ 小雪を振り払う
あなたに愛され 尽くされて
しあわせでした 梅川は
後は言葉も
袖を濡らして 忍び泣く

水の流れと 身の行方
鳴くは名残の 浪華の川千鳥
捨てても悔いない この命
あなたと今を 生きれたら
雪よ降れ降れ
一期一会の 恋に降れ


こんなのもありました
「ちょうど時間となりました」 星野哲郎 作詞 畠山みどり

与三郎さん
怒る気持ちはわかるけど
ゆすりたかりはご法度よ
まして人妻 お富さん
女ばかりを責めないで
あいよきたなと 手を打って
さてその次は
ちょうど時間となりました

権八さん
ちょいとお待ちと鈴ケ森
やって来たのは 幡隋院
マダムキラーの長兵衛さん
ついて来なせえ 大船に
乗ったつもりで お江戸まで
待ってましたよ そのセリフ
さてその次は
ちょうど時間となりました


またこんなのもありました 僕の愛唱歌です
「あいそづかし」 伊藤アキラ 作詞 梅沢冨美男 歌

例えば曽根崎心中の あれは男がだらしない
それでも女は惚れていた あんたと私によく似てるわ
出てッてよ 出てってよ
今夜限りにしておいて
出てってよ 出てってよ
愛想尽かしの言葉を投げて
かんだ唇 横一文字
ああ ああ 愛想尽かしの言葉にかえて

あるいは冥途の飛脚でも
闇の道行 死化粧
それでも女はついて行く
来いよと言われりゃ ついて行くわ
出てってよ 出てってよ
私ひとりに しておいて
出てってよ 出てってよ
愛想尽かしの言葉の前に
ついてこいよと 言われたかった
ああ ああ 愛想尽かしの言葉の前に

近松そんなの知らんよと
あんた 煙草を押しつぶす
いつでも男ははぐらかす
ついでに女を踏みつぶして
出てってよ 出てってよ
今夜限りにしておいて
出てってよ 出てってよ
愛想尽かしの言葉を投げて
噛んだくちびる 横一文字
ああ ああ 愛想尽かしの言葉にかえて




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