
今日の日記は、今読んでいるサミュエル・リチャードソン著『パミラ、あるいは淑徳の報い』(原田範行訳:英国十八世紀文学叢書「第1巻メロドラマ」2011年研究社刊)のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
私は昨日の日記で、映画『恋愛適齢期』の”ナンシー・マイヤーズ女流監督は、異性である初老男性の心情をよく分かっていない”と批評しました。それほど、性の違いにより、異性に対して深く真に理解することは難しいことなのです。
しかし、その性の違いを超越して、中年男性の印刷業者が少女の手紙を見事に表現した小説があります。その小説とは、私が今日皆さんに紹介するイギリス十八世紀中葉に出版された近代小説の父といわれるサミュエル・リチャードソン(1689年8月19日~1761年7月4日)の処女著作『パミラ、あるいは淑徳の報い』です。
この著書は、著者自身が若く美しい小間使いのパミラに成り代って、彼女の両親に宛てた書簡を編集する形式になった近代小説の祖といわれる作品です。そして、この著書で彼は、見事に性を超えた文体で、若い女性の思いを巧みに表現(今回の日本語版翻訳者の傑出した表現もその功績・貢献大)しています。
私は読んでいて、書き手が男性だということを思わず忘れてしまうほどの名文です。それは、年少の頃からやさしく、とても早熟で、女性たちに深く可愛がられ、彼女達のために”恋文の代筆”をしていたサミュエル・リチャードソンの隠された文才が、この作品において見事に発揮・開花されたからでしょう。
ネットでは、この著書の内容解説が『美しく無垢なメイドが、紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴り、そのスリリングな展開は今なお十分に面白く読める。大胆な現代風の新訳で刊行』とまったく情緒のない表現で紹介されています。
この悪文を私なりに適切な表現に言い換えると、”信心深い小間使いのパミラが、淑徳(女性のしとやかで貞淑な徳)と人間的な美しさの報い(おかげ)で、紆余曲折はあったが若主人に深く愛され、彼の正妻になり、両親にも孝行を尽くし、幸せに暮らすことができた若きある女性に関する人生の教訓書”となります。
添付した写真の著書表紙には、そのパミラに向かって左側から差し出された若主人の手が描かれています。それは、彼女の”貞操の危機”を象徴するような構図になっています。
読んでいても、私はその彼女の危機に、ハラハラドキドキしました。また、現代ではまったく考えられないような理想の男女愛が、ゆったりとした時の流れの中で深く描かれています。だから、皆さんにも、現代人が忘れてしまった女性の”淑徳”を見つめ直すこの名作を、私は是非読んでほしいと思っています。
私は昨日の日記で、映画『恋愛適齢期』の”ナンシー・マイヤーズ女流監督は、異性である初老男性の心情をよく分かっていない”と批評しました。それほど、性の違いにより、異性に対して深く真に理解することは難しいことなのです。
しかし、その性の違いを超越して、中年男性の印刷業者が少女の手紙を見事に表現した小説があります。その小説とは、私が今日皆さんに紹介するイギリス十八世紀中葉に出版された近代小説の父といわれるサミュエル・リチャードソン(1689年8月19日~1761年7月4日)の処女著作『パミラ、あるいは淑徳の報い』です。
この著書は、著者自身が若く美しい小間使いのパミラに成り代って、彼女の両親に宛てた書簡を編集する形式になった近代小説の祖といわれる作品です。そして、この著書で彼は、見事に性を超えた文体で、若い女性の思いを巧みに表現(今回の日本語版翻訳者の傑出した表現もその功績・貢献大)しています。
私は読んでいて、書き手が男性だということを思わず忘れてしまうほどの名文です。それは、年少の頃からやさしく、とても早熟で、女性たちに深く可愛がられ、彼女達のために”恋文の代筆”をしていたサミュエル・リチャードソンの隠された文才が、この作品において見事に発揮・開花されたからでしょう。
ネットでは、この著書の内容解説が『美しく無垢なメイドが、紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴り、そのスリリングな展開は今なお十分に面白く読める。大胆な現代風の新訳で刊行』とまったく情緒のない表現で紹介されています。
この悪文を私なりに適切な表現に言い換えると、”信心深い小間使いのパミラが、淑徳(女性のしとやかで貞淑な徳)と人間的な美しさの報い(おかげ)で、紆余曲折はあったが若主人に深く愛され、彼の正妻になり、両親にも孝行を尽くし、幸せに暮らすことができた若きある女性に関する人生の教訓書”となります。
添付した写真の著書表紙には、そのパミラに向かって左側から差し出された若主人の手が描かれています。それは、彼女の”貞操の危機”を象徴するような構図になっています。
読んでいても、私はその彼女の危機に、ハラハラドキドキしました。また、現代ではまったく考えられないような理想の男女愛が、ゆったりとした時の流れの中で深く描かれています。だから、皆さんにも、現代人が忘れてしまった女性の”淑徳”を見つめ直すこの名作を、私は是非読んでほしいと思っています。