田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

恐るべし! フェルメール人気

2022-06-11 14:43:55 | 作品展・展覧会等

 開幕して1ヵ月半が経過したというのに、フェルメールに関する映画会は満員御礼。展覧会は牛歩の歩みどころか、カメさんの歩みである。フェルメールがこれほどの人気とは!美術の世界に疎い私には驚くばかりだった。恐るべし!フェルメール!

   

 過日、道立美術館で開催中の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の招待券をある方からいただいたと拙ブログに書いた。その際に札幌市民ギャラリーで上映される「謎の画家・フェルメール追跡」という映画を観賞後に実際の画と対面しよう、と書いた。

          

 その映画を観るため6月8日(水)に市民ギャラリーに赴いた。ところが!フェルメール人気は凄まじいものだった。私は上映開始の午後2時より30分前に到着したのだが、すでに定員の100名を超えていて、さらに長蛇の列が続いていた。市民ギャラリー側の臨機応変の措置で1時間後(午後3時)にもう一度上映してくれることになった。

 映画は私のように美術に疎いものにとっては大変にありがたいものだった。フェルメールは画家であると同時に、宿業の主人であり、画商も兼ねていて、かなり裕福な暮らしをしていたようで画業に熱心だったとは言い難く、遺された作品も32~37点(諸説ある)と数少ない。また彼は自宅があったオランダの小都市・デルフトから一生出ることはなかったという解説もなされた。

 映画はそんな数少ないフェルメールの作品を写し出しながら、フェルメールの画の特徴を解説してくれた。その特徴を映画の中では次のように項立てして説明した。〈光のマジック〉、〈引き算の美学〉、〈計算された構図〉、〈ラピスラズリ〉という特徴があるという。〈ラピスラズリ〉とは、大変高価な宝石らしいが、それを絵具として使用していたという。映画を観たことで、フェルメールに対する期待が私の中で高まった。

 そして昨日(6月10日)、開幕して時間も経ったし、午後2時頃だといくら人気だといえ少しは空いているのではないか?との期待で近代美術館に向かった。ところが!案に相違して想像以上の観客で埋まっていた。フェルメール恐るべし!牛歩どころではない。遅々として進まぬ行列に内心イライラしながら、作品を観て回ったのだが…。

 なにー!?フェルメールの画がいっこうに現れないではないか!現れるのはドレスデン 国立古典絵画館(ドイツ)に所蔵されている17世紀に活躍したオランダの画家の画ばかりではないか!結局、今回展示されていた73点の絵画のうち、なんとフェルメールが描いた画は「窓辺で手紙を読む女」1点だけだった…。

          

  ※ 案内パンフの写真ですが、フェルメールが亡くなった時に残された作品にはキューピッドが見えません。  

 これはいったいどうなのだろうか?私などは「う~ん」と唸るばかりだった。なるほどフェルメールは謎の画家として、いろいろと謎の多い画家のようだ。この「窓辺で手紙を読む女」でも、女の背後に実はフェルメールは弓矢を持つキューピッドを描いたのだが、何者かによってそれを塗りつぶされ、長い間そのままになっていたという。それが後年X線調査でキューピッドが隠されていることが判明し、ドレスデン絵画館の慎重な修復作業によってキューピッドが姿を現したという劇的な展開が世の人々の関心を高めたようなのだ。その修復作業後の画がドレスデン絵画館以外では、国外では初めて東京都美術館に続いて道立近代美術館で公開されるという話題性もあり、「フェルメール」をバーンと前面に押し立てた絵画展名「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」としたのだと思われる。でも私に言わせてもらうと「17世紀オランダ絵画展とフェルメール」で良かったのでは?と思うのだが、それでは訴求力がないということなのだろう。

          

        ※ ドレスデン絵画館の修復作業によって姿を現したキューピッドが描かれた真図です。

 それにしてもフェルメール恐るべし!である。僅か1点の作品で、どれだけ多くの人たちを動員するのだろうか?



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