国の重要文化財に指定されている「豊平館」は2012年から長い修復期間を経て、昨年6月にリニューアルオープンしていたのだが、私が訪れたのは初めてだった。ウルトラマリンブルーの色が映える「豊平館」は札幌にとって貴重な文化財といえるだろう。
※ ウルトラマリンブルーの鮮やかな色彩が印象的な豊平館の全体像です。
4月17日(月)午後、「めだかの学校」の野外活動として「豊平館見学」があった。
豊平館は耐震補強が必要だったこととともに、バリアフリー対応、老朽化対応などのために、2012年から「保存修理工事」と「活用整備工事」を行っていたが、昨年6月20日にリニューアルオープンされていた。
※ 豊平館の裏側には近代的な付属棟が併設されていました。(奥の高い棟は別のホテルです)
見学会の参加者は30数名いたのではと思われるが、まずは豊平館の裏側に案内された。そこには、豊平館の裏側に近代的な建物(付属棟と称するそうだ)が併設されていた。
リニューアルされてから何度は豊平館の前は通っていたが、付属棟が併設されていることは知らなかった。
その付属棟で観覧料300円を払い入場するシステムになっていた。リニューアル前は無料で見学できたが、有料化になっていたことも初めて知った。
有料化に伴ってだろうか?私たちには施設を案内するガイドが付いてくれた。
見ていると、個人的な観覧者に対してもガイドが付いているように見えたが、はたしてどうなのだろう?
付属棟はまた、エレベーターが備えられバリアフリー対応がなされていた。
豊平館は、明治天皇行幸の際の行在所になったのをはじめ、大正、昭和天皇が皇太子のときに行啓されるなど、皇族や高官たちの宿泊所として供された施設であり、内部は重厚な造りになっている。
※ 螺旋階段に赤い絨毯、いかにも高貴で重厚な印象です。
※ 2階の大広間。音楽会やダンスの会などが開かれたようです。
※ 「芙蓉の間」と称する客間の一つです。
私にとっては無料化時代に一度見学していたこともあり、全体としては格別目新しくは映らなかったが、以前は非公開だった(?)2階部分の部屋が興味深かった。
というのも、明治天皇が宿泊された部屋が再現されていたからだ。部屋はリビングと寝室の二部屋になっていて、寝室には天蓋付きのベッドが備えられていた。また、手洗いなどをする設備も整えられ、当時としては最上のおもてなしの設備だったと考えられる。(隣の侍従長が泊まる部屋もほぼ同じ造りだった)
※ 明治天皇などが泊まられた天蓋付きベッドです。正面の家具には思わぬ仕掛けが!?
※ 天皇の寝室が暗かったため、侍従長が泊まった部屋のベッドを写しました。
ガイドさんからも興味深い話を聞いた。
今回の修復工事で、豊平館と付属棟を繋ぐために、豊平館の壁に穴を開ける必要が生じたが、当初管轄する文化庁が重要文化財の現状変更に対しての許可が下りなかったそうだ。
そこで札幌市としては、明治期に豊平館が建てられた際には本館につないで厨房、浴室、トイレなどを併設していたという事実を説明することで許可を得たそうである。
※ バルコニーの庇のところにペンキが塗られていませんでしたが、これは建設されたときと同じ仕様だということでした。
歴史の新しい北海道においては、明治期に建てられた洋風建築である「豊平館」は、「北海道開拓の村」に保存されている庶民の建物とは違った意味で、歴史を知る上での貴重な財産といえるのだろう。