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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 157 喜びも悲しみも幾年月

2016-03-16 21:30:45 | 映画観賞・感想

 考えてみれば当たり前のことなのだが…。灯台のあるところというのは、全国どこでも陸地の先端、つまり辺地に建っているという事実に改めて気付かされた。全国の辺地ばかりを転々とする灯台守の喜怒哀楽を映像化した名作を改めて観賞した。

                   

 3月14日(月)午後、「めだかの学校」3月第1回の学習会が行われた。今回は「映画の中の北海道」シリーズで、「喜びも悲しみも幾年月」(1957、昭和32年制作)が取り上げられた。
 この映画はご存じ(?)のように、木下恵介監督がメガホンを取り、佐田啓二と高峰秀子が灯台守の夫婦役となって、戦前から戦後に到る25年間の灯台守の生活を描いたもので、公開当時大ヒット作となった作品である。
 また同名の主題歌を歌った若山彰の伸びやかな歌が印象的で、この歌も大ヒットし、私も大好きな歌の一つである。

            

 北海道の灯台は、観音崎灯台に続いて、二つ目に登場する「石狩灯台」がストーリーの中では二人の子どもの出産など、かなり重要な位置を占めている。物語では5年を過ごしたことになっているのだが、面白い(?)ことに冬の雪の場面ばかり描かれているのは、いかにも北海道らしい光景を撮りたいという木下監督の思いだったのだろうか?
 北海道の灯台としては小樽・祝津の「日和山灯台」も舞台の一つとなっていると解説では触れているが、私が観たかぎりでは「日和山灯台」でのシーンは出てこなかった。あるいは一瞬でも画面に登場したのかもしれない。

            

 リード文でも触れたが、灯台というと陸地の先端とか、離れ小島がほとんどである。つまり灯台守は一生のほとんどを辺地で過ごすことが宿命づけられているということを、映画を通して改めて知った。
 そのことが夫婦の中でも時おり諍いの原因となっていた。現在は灯台守という職業は機械化によって自動化されたことによって存在しないらしいが、船舶の安全のために市民的生活を犠牲にして辺地で一生を過ごされた灯台守の方々は尊い存在であったといえる。

 映画は、当時はまだ白黒映画も公開されていた中で、オールカラー(その当時の表現では総天然色)で撮影され、全国各地にロケした模様が当時としては美しく描かれているのも特色の一つである。

 全編が162分という長編映画だったが、転勤によって舞台が次々と移りゆくロードムービーとしての面白さもあり、退屈することなく最後まで楽しめた映画だった。