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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

「部活」って何?

2014-01-15 23:14:15 | 講演・講義・フォーラム等
 「部活」と聞いてどのようなことをイメージするだろうか? 今年最初に受講する講座として「運動部活動」についての功罪を研究対象とする先生のお話を伺った。 

 若干時間は経ってしまったが1月9日(木)夜、札幌大学において「北方文化フォーラム」が開催され受講しました。テーマは「『部活』って何? ~運動部活動の過去・現在・未来~」と題して、一橋大学専任講師の中澤篤史氏が話された。

          
          ※ 講義をする一橋大学専任講師の中澤篤史氏です。

 中澤氏はまず日本における中高生のスポーツの現状を諸外国の実態と比較されて提示された。すると、日本は世界的に見ても学校中心のスポーツ活動が大規模で行われており、その種目も多く、その加入率も高いことを示された。つまり、日本は学校における運動部活動(以下「部活」と称します)が世界的に見ても非常に盛んな国であるということです。

 次にその歴史を見ると、学校における運動部活動の原型は学校が制度化された明治期に遡るということですが、現在の形の部活は戦後教育改革によってスポーツが「自由と自治のシンボル」として奨励されたことに始まるようです。
 その部活は1964年の東京オリンピック以前は「選手中心主義」だったものが、以後はスポーツの大衆化が叫ばれ「平等主義」がもてはやされたと中澤氏は分析します。さらに時代が進んで日本が豊かになり高校全入の時代になると生徒の非行が目立ち学校が荒れはじめたため、部活が生徒を管理する手段として活用されるという「管理主義」の時代に入ったといいます。その傾向は今に続くと中澤氏は言います。
 この分析はやや粗いようにも思われますが、一応聞き置くことにします。

 ここで中澤氏は部活の現状について次のように課題を挙げています。
 ◆学校教育にとっての「部活」の〔理念〕と〔実践〕の乖離
  〔理念〕・子どもの自由・子どもの自治・楽しいスポーツ・みんなのスポーツ・民主主義・平等主義
  〔実践〕・子どものしつけ・子どもの規律・訓練スポーツ・非行予防スポーツ・生徒指導・管理主義
 ◆教師にとって「部活」が抱える〔教育者〕なのか〔労働者〕なのかという矛盾
  〔教育者〕・自主性の教育・自治能力の育成・人間形成・生徒指導・生徒理解・教育の一環
  〔労働者〕・大きな負担・不十分な手当・超過勤務・指導力不足・職務のあいまいさ・軽減すべき労働

 中澤氏はお話の中で明言はされなかったが、現状の「部活」についてはやや否定的な見方をされていると感じられた。確かに部活の現状と課題を見ていくと、やはり整理されていない部分が多く目に付きます。
 私は学校教育に関わっていたとは言いながら小学校教師でしたし、私自身は部活を経験してはいますが小規模の中学校、高校の経験者だったので体験的にこの問題を論ずることはできません。

 私が言えるとしたら、やはり教育の〔理念〕に基づいた部活に立ち帰るべきなのだろうと思います。部活が生徒たちの人間性を育んできた部分は確かに大きいと思われますが、問題があまりにも多いように思われます。
 関係者の努力によって問題点を整理され、一日も早く〔理念〕に近づく部活を実現してもらいたいと思います。