まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『海に住む少女』ターゲットは不明

2014-12-21 00:31:27 | フランスの作家
LENFANTE DE LA HAUTE MER 
ジュール・シュペルヴィエル

以前、シュペルヴィエルの『ひとさらい』を読んだ時、衝撃的な題名とテーマのわりに
悪の匂いを感じなかったわけですが、この本を読んで作品の傾向が
ほんの、ほんの少しだけわかった気がする。

この一冊には、童話とも寓話とも言える、また、ファンタジーとも呼べそうな
空想いっぱいの短篇が10篇おさめられています。
文章は簡単で、優しく語りかけるように書かれています。
内容もそんなに込み入った感情が描かれているわけでなく、単純にも見えます。

では子供が読む本か? と問われればそうではないんですよね。
じゃあ大人が読んで楽しいか? というとそうでもない… 誰が読むといいかしらね?

いくつか紹介してみます。

『海に住む少女(Lanfante de la Haute Mer)』
他に住人のいない、海に浮かぶ道の街にたったひとりで暮らす12歳ぐらいの少女。
船が近づくと道は少女もろとも海の中へ沈んで消える。
少女は、朝がくれば街中の店を全て開け、夜になれば閉めてまわる。
ある日少女は、初めて人間が鳴らしているサイレンの音を耳にする。

なんとなく、吹き出しが少なく白場が多い空想的な少女漫画みたいなのを
思い浮かべながら読んでいたら、最後はがっつり悲しい結末に辿りついちゃった。
子供が読んだら怖くてひきつけをおこすかもしれないわ。

『ノアの箱船(L'Arche de Noe)』
いよいよ洪水に見舞われた時、ノアの箱船に乗れるのは、全ての動物の雄と雌の
各一頭(匹)だけで、ノアの家族以外の人間はどんなにすがっても乗船できなかった。
甲板ではありがたがる動物たちがお互いをいたわり合い、美しい光景が見られたが
長いこと海上を彷徨ううち、皆が空腹とイライラを募らせていく。

すみません、聖書を読んでいないので、この話しが言い伝えとどれぐらい違うのか
わからないのですが、おこりんぼノア、ノアにダメだしする妻などなど
聖人台無し感がハンパじゃありません。 いいのかね?

『牛乳のお椀(Le Bol de Lait)』
青年は、街外れに住む母親に届けるため、毎朝牛乳が入った一杯のお椀をかかえ
パリの街を横切っていた。 牛乳をこぼさないよう、急がず、ゆっくり…
母が亡くなってずいぶんたつが、それでも青年は牛乳を運び続けている。

親孝行の話しかしらね? と思って読んでいたら、唐突に哲学的な問いかけをされて
びっくりしちゃうわね! というラストでした。
教訓は特に含まれていないように思うけど… 継続は力なりってこと? 違うね。

ここに共感できたとか考えさせられたという場面はほぼ無かったと言えましょう。
清い印象は受ける、無垢な印象もある、でも子供にふさわしいとは思えない。

現実的な話しが好きな人は受けつけないでしょうし
ファンタジーやミステリーが好きな人に受け容れられるかどうかも疑問です。

どちらかというと詩的なのね。
私は詩が苦手だからなぁ… だから馴染めないのかもしれない。
ミルトンとかワーズワースとかが好きな人にはいいのかもしれないね。
って、私はどちらも苦手なので良さがわかりませんけどね。 失礼しました。

ロマンティックといえなくもない… 不思議な読後感の一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



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早くDVDがでないかなぁ。 日本公演のDVDはドームの後ですよね? きっと
コメント
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