まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『編集室』憧れの業界も一皮むけば…

2014-11-14 21:09:32 | フランスの作家
LA SALLE DE REDACTION 
1977年 ロジェ・グルニエ

仕事と名のつく物全てに業界がありますが、中でも憧れる人の多さでは
マスコミ業界も五本の指に入るのでしょうね?

実は私は以前広告業界の一郭(すみーっこ)に身をおいておりましたので
少しは出版業界のことを知っていたりするのですが
やはり内部で働いていた方が知る実情は厳しいものがありますね。

作者はジャーナリスト、新聞記者、テレビ放送関係に従事していた人です。
この本の中に書かれているエピソードはもちろんフィクションなのでしょうが
作者が経験したことが、多かれ少なかれベースになっていると思われます。

10篇の登場人物は、新聞記者・報道カメラマン・ラジオ制作者など様々ですが
どれも大手の花形…というわけではありません。

出版社がみな小学館とか講談社みたいに大きいわけじゃないものね。
マンションの一室で編集されている雑誌や新聞はけっこうあります。

印象に残ったお話しをいくつかご紹介します。

『死者よさらば』
ヘミングウェイの自殺から5日後、パンプローナの闘牛祭りに取材に行くと
なんとヘミングウェイがカフェにいて、人々に囲まれていた。
彼はヴァンダーフォードというアメリカ人で、ヘミングウェイに間違われた日から
ヘミングウェイになりきって生きてきたという。

マイケル、ベッカム、ウィリアム王子などなど、有名人にそっくりだからって
なりきって人生を送っていらっしゃる方もたくさんいれば、ありがたがる人もおり…
でも、同じ顔でもオーラとSPが背後に見えないのがそっくりさんのつらいとこ。
これ実話? オーソン・ウェルズが激怒したって書いてあるんだけどね。調べないけどね。

『もうひとつの人生へ』
早朝パリを出た車には、マルト・R…夫人、記者のティスール、カメラマンのマラン
運転手ピエールが乗っていて、東部のプザンソンを目指していた。
10年間刑務所にいて、出所してから1年半しかたっていないマルト夫人が
最後に “その “ 門をくぐっていく姿を写真におさめるためだった。

芸能人が人生切り売り的に、実生活をテレビで晒したりするのは仕方ないとして
素人さんの人生を見せられてもね… というわけで、もう大家族モノやめません?
しかし、主人公女性のように、もうこれしか売る物が無いとなると
人は万人の前に自分を晒すのかもしれないですね… なるべくそうはなりたくないけどね…

『すこし色あせたブロンド女』
ピエールが初めてイラストレーターのミシェルと会った時
彼女はNYに出て来たばかりのみすぼらしい娘だったが好感が持てた。
しかし、ある日髪を切ってきたミシェルを見て堕落の始まりを感じた。
数年後に二人が再会した時、ミシェルは三人の男を手玉にとっていた。

いつも書いていますように、私は容姿を武器にする女性は嫌いじゃないですよ。
それは彼女なりの才能だし生き方だし、潔く “ The 女 ” をやっていただければよいのでは?
ただ、そんなのいつまでも続かないよ~だ! という願い通りの、その後が見てみたいという
意地悪な気持が少しは… ウソです、ものすごーくあります。 だからこの話しが好きさ。

記者、イラストレーター、評論家、作家、ライターとかって、誰でも名乗れますよね。
名刺に書いちゃえばいいし、自分で言いふらしてもいいんだしさ。
「なれる気がする…」って思ってるだけで名刺刷っちゃう人も多い気がしますが
まず誰かに認めてもらうのが至難の業だし、その座に居続けるのも大変ね。
そんな業界人の浮き沈みや四苦八苦、右往左往に東奔西走がもりだくさんです。

物語の書き出しが、わりとカタめで、回想録とかルポなんじゃないかと思いましたが
読み進めるとじわじわストーリーが楽しめる話しばかりでした。
文章に遊びが無い分ストレートに頭に入ってきて読みやすい一冊でした。
読後に哀愁が感じられる大人っぽい物語が多かった気がします。

ところで、すごーく邪道な本の読み方かもしれないけど…
いくつかの物語には主人公がいて、いくつかは語り手が自身を語るというパターンなのですが
主人公、あるいは語り手が作家自身を反映しているとしたら、私はこの作家がすごく好きね!
書き手としてでなく男性としてなんだけど…
落ち着いてるし、客観的だし、寡黙だし、冷静だし、情け深いし…まだまだあるけど
本当に大人の男って感じよ。

それぐらいこの本の物語の登場人物の男性たちは魅力的でした。
目の前にこんな人がいたら、物陰からじーっと見つめちゃうかもしれないわ 
きっと顔立ちも整っていて声も素敵な、魅力的なお方のはず… ただいま妄想中

こんな男性たちにまた会えるなら、この作家の本をもっと読んでみようかしら?
…実物とのギャップが怖いので写真は見ないことにします。

ステキな男性と出会える一冊。 妄想だけど…
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
BEASTの『TIME』を聞き続けている今日この頃ですけど、『12:30』よすぎる! また聞いちゃお
あんなにしっとりした曲なのにけっこう激しめなダンスがあるってのがまた…素敵すぎ



めっきり大人っぽくなったBEASTに出会える1枚
聴いてみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
コメント
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