自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々
豪雨が上がった夕まぐれ
雨が溜まった手水石に
ウソがやってきて水浴びをする。
バタバタと羽を広げて
水をまき散らし
フィーフィーという甲高い声を
暮れなずむ空に響かせながら…。
それからウソは
屋根の方へと舞い上がり
再び水浴びにやってきた。
同じ鳥だったのか
番いのもう一羽だったのか
やっぱりバタバタ、フィーフィーと…。
露天風呂の脇の
いつもは水のない手水石。
けれど大雨が降ると
ここが水浴びに場になるのを
知っているかのように…。
ブラキカム〈キク科〉
copyright Maoko Nakmaura
家が揺れるような雷と
激しい雨。
台風の長雨、大雨にも
氾濫しなかった近くの川が氾濫し
道路に水があふれ出す。
台風には備えにぬかりない
ポンプによる排水作業も
急激な増水に後手となる。
「大丈夫だと思うけど
いざという時には
一緒に逃げましょう」と
近所の人が声をかけてくださる。
やっと雨が上がり
川の氾濫も収まる。
すっぽり雲に覆われていた
大山が姿を現す。
この頃はpm2.5でも
姿を隠すことが多い大山。
大山が見えることに
改めて感謝する。
マリーゴールド〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
昨年の秋に
郵便ポストを変えた。
市販の朱色の
細長いものから
手作りの木の
白と青の大きなポストに…。
すると
郵便物や新聞だけでなく
いろんなものが
入っているようになった。
たとえば
玉ねぎやジャガイモや
昨日などは
信州のお土産が…。
山の作業所で
ていねに
手作りされたポスト。
きっと幸運のポストに違いない。
スカシユリ〈ユリ科〉
copyright Maoko Nakamura
湖面を渡る風…
さざ波に輝く光…
舞い上がる水しぶき…
今年も
山の湖で楽しんだ
カヌー体験。
大人も童心に帰り
夏空に
だます笑い声…。
百日草〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
机の上に苔玉とポトス。
暑さの中で
涼しさを伝えてくれる
緑の葉。
窓の外に木々や草。
暑さの中で
逞しさを伝えてくれる
緑の葉。
その小さな一枚の
それぞれの仕事。
緑の葉
それぞれの上で
夏の時間が揺れている。
モントブレチア(姫檜扇水仙)〈アヤメ科〉
copyright Maoko Nakamura
宇宙の神々が
住みつきたくなるという
「天体の植民地」*
日野郡日南町(鳥取県)。
天気の良い日には
満天の星が夜空を彩り
町ではもう見られなくなった
天の川が横たわる。
その両岸には織姫と彦星。
南の空には巨大なサソリ。
その星々が
降りてくる時季がある。
それがちょうど今の頃。
星々は森を目指し
木々の間でチカチカと輝く。
天空での
輝きそのままに…。
いつもは暗い森が
もう一つの星空になる。
天空の星と地上の星と…。
地球の宇宙を
宇宙の地球を
さ迷い歩けは流れ星が一つ。
ほら、また一つ
星がここにやってきた。
*井上靖の言葉より
ペパーミント〈シソ科)
copyright Maoko Nakamura
手放すものに
執着しない
ということを学ぶ
夏の朝。
鶯来りて
歌を歌う。
新たな巡りの
始まりを知る。
ねじばな〈ラン科〉
copyright Maoko Nakamura
いただいた花を
コンテナに植える。
日日草2種と
小ぶりのコスモス。
用土を入れて植えつけ
水をたっぷりとかける。
誰かに
見てもらえたらいいなと
道路の側に置く。
ありふれた花
といえば花だけど
小さな物語も
一緒に咲いている
花だから…。
日日草〈キョウチクトウ科〉
copyright Maoko Nakamura
「思いつ木」の種ひとつ。
心の大地に落ちてきた。
「思いつ木」の種ひとつ。
すくすく育って
葉を茂らせ
実をならせることを
夢見ている。
「思いつ木」の種ひとつ。
昨日までの
自分からの贈り物。
今日からの
自分への贈り物。
「思いつ木」の種ひとつ。
生きてきたことの証
生きていくことの標。
エキナセア〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
春に生まれた山桜。
同じようで
同じでなくて
一枚一枚違う葉。
仲良く風に揺れている。
みんなで
葉葉葉と笑いながら…。
梅雨を迎えた山桜。
いろんなふうに
虫にかじられ
一枚一枚違う葉。
仲良く雨に打たれている。
みんなで
葉葉葉と歌いながら…。
ヒメシャラ(夏椿)〈ツバキ科〉
copyright Maoko Nakamura
にわかに風が強くなり
ポツポツ降り出した雨が
急に雨脚を強める。
半袖カッターシャツの
男の子が勢いよく
自転車で通り過ぎる。
風神に捕まるものかと
スピードを上げ…。
ビュンと空を駆ける
トンボのように…。
半袖カッターシャツの
男の子が勢いよく
自転車で通り過ぎる。
梅雨と夏の間を…
少年と青年の間を…。
ノカンゾウ(ベニカンゾウ)〈ユリ科〉
copyright Maoko Nakamura
この時期になると
小さな花芽をつけるミモザ。
こま粒より
小さな花芽を
枝の先にぎっしりと。
これから
夏を越え
秋を越え
冬を越えながら
少しずつ
花の準備をしていくのだ。
1日1日確実に。
そうして
細胞分裂をした
卵のように膨らみ
ある日
パッと黄色い綿毛の花を
咲かせるのだ。
春の空の下に…。
けれど
ミモザにあるのは
今、この時間。
ギボウシ〈クサスギカズラ科〉
copyright Maoko Nakamura
あなたに向けた
わたしの笑顔。
わたしのなかで広がって
らったのはわたし自身。
わたしに向けた
あなたの笑顔。
あなたに返すことで
わたしのなかで広がりぬ。
笑顔と笑顔
もらって返して
あげて返され
互いの胸で響きあう。
ベルガモット(たいまつそう)〈シソ科〉
copyright Maoko Nakamura
いつもの場所
いつもの時間。
新しいことはないけれど
何もかもが新鮮で
降っては解ける
春の雪のように
それぞれの今が
時空の中に解けてゆく。
いつもの場所
いつもの時間。
仲間とのひととき。
向日葵〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
玉子が二つ
並んでころり。
エビが一匹
滑ってはねて。
そんなことが
おかしい
朝のキッチン。
テーブルの上には
炎のような
トリトマが3本。
アフリカからやってきた
アートな花。
見るものの心を
パワーで満たす花。
トリトマ〈ユリ科〉
copyright Maoko Nakamura