詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
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はじめるために

2014-06-17 | フリー Poem
空のなかには鳥の声がかくれている
その木のむこう側に
耳をそばだててごらん
どこまでも遠くへつづく青空から
低く垂れこめる雲間からも
鳥の声がきこえている
鳥の声は空を覆い尽くしている

空の色には
たくさんの時間がかくれている
伝えきれなかった想いも
涙が止まらない理由も
言葉にならない言葉を知っている
空は地上を見渡しながら
波頭が防波堤にぶつかる水の爆音を
虫の静かな寝息さえ映しとって

空に一番近い森の木の梢から
夜の沈黙は拡がりだす
歩きまわる誰かの最後の足音まで
のみこみながら
人々を寝静まらせていく

鳥は暗闇から無言で飛び立ち
目の前の水辺に降り立つ
鳥が飛ぶのは
空からの伝言があるからだ

空のなかには鳥の声があふれ
昨夜の風の記憶のなかにも
霧のなかにも
青空がかがやきだす朝をつれて
飛んでくる
新しい一日を
はじめるために




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