詩の現場

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イマジズムの詩篇(13)

2018-01-04 | イマジズムの詩
38)
夜のプリズムは
星に光を灯していく
真っ暗な闇に
誰かが置いていった
割れたガラスの器

球体は壊れて
多面体になり、
誰かの希望という名の落し物
を集めるのだが、
何しろ器は
割れているから
自分一人にとどめておけず
漏れ出る光が
乱反射するのだ


39)
夕べの風に会えるかなと
思いながら
戸外へ出てみる
昨日から今日に届いた
時間を
朝の白い景色が
大事そうに包みながら
立ち止まっている

鳥がその嘴で
封を開けていく
新しい日めくりを
覚えて
羽で
今日の風の色を
塗り替えて


40)
ときどき
影は影を抜け出して
きみにささやく
きみはこんなに美しい
僕はきみのどんな小さな悲しみも
どんな小さな痛みも
知っている
僕がついている限り大丈夫
暗闇は僕がいつも一緒にいる
僕の家だから
未明の、地上がほの明るくなる手前、
わずかな光にも
僕はきみを美しく輝かす


41)
諦めていた時に、虹はかかる
雨と陽射しが、織りあげる橋
泣いたり笑ったりするから
本当は、自分の心にも
いつも虹は生まれていて
虹の橋の渡り方を教えてあげる
信じる、という呪文
目を閉じて
もう1度目を開けて
すると
今日、歩いて行く道が
光の始まりのように
そこにあって


42)
歩いていく
人間の足は前を向いて
進んでいくと
歩きやすい

カニはどうして横歩きに
なったのだろうね
顔は前を向きながら

後ろ歩きをする動物も
いるかもしれないけれど
きっと目は
訪れる時の方角を
見ている



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